健康経営とウェルビーイング経営は何が違う?

 

 

健康もウェルビーイングも重要なのに、“施策が機能しない”のはなぜか?

 

近年、多くの企業で「健康経営」や「ウェルビーイング経営」が注目されています。
しかし実際には、

 

 

これは“健康” と “ウェルビーイング” を別々のものとして捉えてしまうから起きる現象です。

食事や運動の施策をしたのにパフォーマンスが変わらない、
ウェルビーイングを掲げても心理的安全性が上がらない、
メンタル不調は増える一方…。

 

こうした背景には、
社員の「状態」が日々変化する時代に、施策が追いついていないことがあります。

だからこそ、
まずは 健康経営とウェルビーイニング経営の違いと、そのつながりを正しく理解すること が重要です。

 

健康経営とウェルビーイング経営の違い

● 健康経営とは

健康経営は、

従業員の心身・行動・働き方を総合的に管理し、不調を予防し、生産性を保つための取り組み

です。

 

 

ここで扱う領域は、

など、いわゆる「土台」の部分。

 

 

対象は全従業員ですが、その中でも
「リスク層(不調の兆しがある人)」のサポートが最も重要になります。

なぜなら健康経営は、企業としての義務的な側面も大きく、
従業員全員が“働ける状態を保つ”ための取り組みです。

 

● ウェルビーイング経営とは

ウェルビーイングは「幸福」と訳されることもありますが、
より本質的には、

従業員が“その時々の状況に合った良い状態でいられること”

を指します。

 

つまり、

などが、総合的に“よい状態で循環している”こと。

 

 

さらに重要なのは、
ウェルビーイングはゴールではなく、“変化に応じて更新され続ける状態”であるということ。

年齢、季節、ライフステージ、家庭状況で“良い状態”の条件は常に変わります。

企業の役割は、
その状態が持続しやすい“文化”や“環境”を育てることです。

 

企業が混乱する理由

健康・パフォーマンス・ウェルビーイングは、本来つながっている
健康経営とウェルビーイング経営を「別のもの」として扱ってしまう企業が多いのは事実です。

 

しかし、実際の現場ではこの2つは明確に分かれません。

● 健康の乱れはパフォーマンスに直結する

例:睡眠不足 → 集中力低下 → ミス増加 → 自己効力感の低下

● 人間関係のストレスは身体症状を引き起こす

例:チームの摩擦 → 胃痛・頭痛 → 欠勤・早退

● ライフステージの変化は働き方にも影響

育児・介護 → 睡眠不足 → 生産性の低下 → 感情の揺れ

このように、
健康・パフォーマンス・ウェルビーイングはそれぞれが繋がり存在しています。

だからこそ企業は、
それぞれを「点」ではなく「連動する層」として捉える必要があります。

 

 

3層モデルとは

現場の実態に合わせて、
企業の施策を以下の「3層」に整理しています。

 

● ① 健康(Health)=不調を減らす土台

例:

 

● ② パフォーマンス(Performance)=日々の働く力

例:

 

● ③ ウェルビーイング(Well-being)=良い状態が続く文化

例:

 

この3層が循環するように設計すると、社員の安定と活力が同時に高まります。

 

①健康の層

義務と予防の領域/“最低限外せない土台”

企業がまず取り組むべきは、
従業員が「働ける状態」を守るための施策です。

● 健康診断・ストレスチェックの運用

● 長時間労働の管理

● ハイリスク層の早期発見

 

 

ここで最近増えているのが、
不眠状態やメンタル初期サインを“早期発見→改善”までつなぐサーベイ
(※Lifreeとしても支援している領域です)

これにより、
“休職寸前”ではなく“初期段階で手を打つ”ことができるため、
企業のリスク管理としての価値が高い施策となっています。

 

②パフォーマンス層

最も参加率が高く、行動変化が起きやすい層
多くの企業が「健康経営=食事・運動」という施策を実施していますが、
実際の従業員アンケートでは、
最もニーズが高いのは“睡眠” であるケースが圧倒的です。

 

睡眠は、

という特徴があります。

 

さらに、経済産業省 の試算では、
睡眠不足による“個人の年間損失額は 32万4,000円”

つまり、1,000人企業なら、
年間 3億2,400万円の損失 に相当します。

 

この数字が示す通り、
睡眠は費用対効果が高く、最も改善しやすい“パフォーマンス施策” として注目されています。

特に、

などのセミナーは参加率が高く、
企業側としても“成果が出やすい領域”です。
(Lifreeでもこの層は得意領域ですが、一般的にも非常に取り組みやすいテーマです。)

 

 

③ウェルビーイング層

“良い状態が続く文化”をつくる領域
ウェルビーイングは「福利厚生を増やすこと」ではありません。
また、「一度整えれば終わり」という固定したゴールでもありません。

本質的には、

従業員が“年齢・季節・ライフステージ・役割の変化”に合わせて、

自然と良い状態を維持できる“文化と関係性”を育てること。

環境が変化するたびに状態は揺れます。
だからこそ企業は、状態が揺れても戻せる文化 を育てる必要があります。

この層に関わる主な取り組みは以下の通りです。

 

● 心理的安全性の高いチームづくり

心理的安全性は、ウェルビーイングの“土台の上の土台”です。

 

● 1on1・対話文化の質向上

1on1の本質は「管理職からの確認」ではなく、

を丁寧に拾うことです。

企業の調査でも、
1on1の質が高いほど離職率は下がり、エンゲージメントが上がると報告されています。

 

● 多様なライフステージを前提にした文化づくり

従業員には、

など、「人生の揺れ」があります。

ウェルビーイングは、
こうした揺れを“個人の問題”にしない文化 の上に成立します。

 

● チームの関係性・役割の再定義

ウェルビーイングを“文化”と捉えると、
役割の明確化や期待値の共有が重要になります。

これらが曖昧なチームでは、
心理的安全性も成果も生まれません。

 

● 「助けを求められる文化」の醸成

ウェルビーイングの最終形は、
助けを求めることが当たり前の行動になる こと。

メンタル不調でも、育児の両立でも、睡眠不足でも。

「話してもいい」
「相談してもいい」
「理解してもらえる」

こうした空気感があるだけで、
状態が大きく変わる従業員は非常に多いです。

 

●管理職向けプログラムの重要性

ウェルビーイングは制度では作れず、
現場のマネジメントの言語と行動で作られます。

そのため、企業によっては

などを管理職が学ぶことで、
文化醸成が一気に加速するケースが増えています。
(Lifreeでもこの領域のプログラムを提供していますが、一般的にも重要な領域です。)

 

では、自社はどこから着手すべきか?

“層別”の優先順位を決める実務的判断軸

健康経営もウェルビーイング経営も重要ですが、
企業の“今の状態”によって優先順位は変わります。

以下は、実際に人事担当者が使える判断基準です。

 

【優先順位の判断軸】

① 健康リスクが高い場合

(休職・長時間労働・メンタル不調が多い)

まず「健康層」から着手
→ データ可視化とハイリスクフォローを急ぐ

 

② 集中力(睡眠の質)低下・疲労感が広がっている

(離職ではないが、日常のパフォーマンスが落ちている)

「パフォーマンス層」が最優先
→ 睡眠・疲労・生活リズム・季節対策が即効性あり

睡眠不足による個人損失(年間32.4万円)の影響が
企業全体に波及している可能性が高い。

 

③ 1on1が機能していない/人間関係の摩擦

(チームワークの低下、心理的安全性の欠如)

「ウェルビーイング層」の文化づくりが必要
→ 管理職研修・対話・役割整理・価値観共有

 

④ ライフステージの偏り

(育児・介護が多い部署、若手・中堅のストレス増加など)

②と③の複合施策
→ 状態を拾いながら文化として根づかせる

 

⑤ 季節性の不調が広がる

(梅雨・冬・夏の不調は企業全体に影響)

②パフォーマンス層の“季節施策”が効果的

 

▶ 結論:

企業は“3層すべて必要”だが、
自社の状態に応じて着手する層を変えることが成功の鍵。

 

 

まとめ|健康経営は土台、パフォーマンスは橋渡し、

ウェルビーイングは“更新され続ける状態”

この記事では、

について解説してきました。

 

 

■ 最後に伝えたいこと

ウェルビーイングは、
“幸福”でも“福利厚生”でもありません。

変化し続けるライフステージの中で、

その人が良い状態になれる文化のこと。

健康経営はその土台をつくり、
パフォーマンス施策は日々の活力を整え、
ウェルビーイングはそれが持続する環境を育てます。

企業がこの3層を循環させることで、
従業員の状態も、組織のパフォーマンスも、
長期的に安定していきます。

そして、「睡眠」という誰もが関わるテーマは、
この3層をつなげる最も効果的な入口になります。

 

睡眠に困ったときは専門家に相談を

「仕事が忙しくて睡眠時間を確保できない」「寝ても疲れが取れない」という方は、
睡眠の専門家に相談することで解決策を見つけることができます。

Lifree株式会社では、ビジネスパーソン向けに
パフォーマンスを最大化するための睡眠改善プログラムを提供しています。

睡眠の質を高め、日中の生産性を向上させる具体的な方法を知りたい方は
ぜひLifree株式会社までお問い合わせください。

 

▶︎個人向け睡眠セミナーはこちら

 

投稿者プロフィール