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夜勤の睡眠障害の原因・症状は?セルフケア・企業がとるべき7つの対策を解説

[最終更新日:2026-08-28]

夜勤や交代勤務のある職場では、
「夜勤明けに眠れない」「勤務中に強い眠気がある」「夜勤が続くと体調を崩す」
といった声が上がることがあります。

こうした状態は、単なる「寝不足」や
本人の自己管理だけで説明できるものではありません。

勤務時間と人間の体内時計がずれることで、
医学的に「交代勤務睡眠障害」と呼ばれる状態につながることがあります。

特に製造、運輸・物流、医療、介護など、
24時間体制が必要な業界では、睡眠問題は本人の健康だけではなく、
ヒューマンエラーや事故、生産性、離職などにも関係する重要な経営課題です。

実際、NIOSH(米国労働安全衛生研究所)は、
夜勤や長時間労働が睡眠と概日リズムを乱し、疲労や判断力低下、
事故・エラーの増加につながるとしています。

通常の日勤と比較して、
夜勤では事故・エラーのリスクが28%高かったという研究レビューも紹介されています。

一方で、企業側からすると、

「シフトそのものをすぐに変えるのは難しい」
「どこまで会社が睡眠に介入すべきかわからない」
「本人のセルフケアと会社の対策をどう分ければいいのか」

と悩むことも多いでしょう。

この記事では、夜勤による睡眠障害の原因や症状から、
本人ができるセルフケア、企業ができる具体策、健康経営のKPIへの落とし込み方まで詳しく解説します。

目次

夜勤で起こる睡眠障害「交代勤務睡眠障害」とは

交代勤務睡眠障害(Shift Work Disorder:SWD)とは、
夜勤や交代勤務など、本来眠る時間帯に仕事をし、本来活動する時間帯に眠る生活によって、
不眠や強い眠気が生じる睡眠・覚醒リズムの障害です。

人間の身体には約24時間周期の「概日リズム」があり、
夜になると眠くなり、朝になると覚醒するように調整されています。

しかし夜勤では、

  • 夜に働く
  • 昼間に眠る
  • 数日後には再び日勤へ戻る

といった変化が起こります。

身体のリズムは勤務表ほど速く切り替わることができないため、
「働かなければいけない時間に眠い」「眠らなければいけない時間に眠れない」という状態が起こるのです。

AASM(米国睡眠医学会)のレビューでは、
交代勤務者の中で交代勤務睡眠障害に該当する割合は研究によって幅がありますが、
おおむね10〜38%程度とされています。
また、2025年のレビューでは、複数研究を統合した推定値として約26.5%が示されています。

つまり夜勤者全員が睡眠障害になるわけではありませんが、決して珍しい問題でもありません。

交代勤務睡眠障害のよくある症状

代表的な症状は次のようなものです。

  • 夜勤中に強い眠気があり、集中が続かない
  • 夜勤明けに帰宅してもなかなか眠れない
  • 日中の睡眠が短く、途中で何度も目が覚める
  • 日勤と夜勤が切り替わるたびに睡眠リズムが崩れる
  • 起床しても疲労感が残っている
  • 頭がぼんやりして判断や作業に時間がかかる
  • イライラしやすい、気分が落ち込みやすい
  • 休日に長時間寝ても回復した感覚がない

AASMでは、勤務スケジュールと関連した不眠や過度の眠気が続き、
日常生活や仕事に影響していることが交代勤務睡眠障害の特徴とされています。

交代勤務睡眠障害の長期的な健康問題

交代勤務そのものが必ず病気を引き起こすわけではありませんが、長期間にわたる概日リズムの乱れや睡眠不足は、さまざまな健康問題と関連することが報告されています。

主なものとして、

  • 心血管疾患
  • 2型糖尿病などの代謝性疾患
  • 消化器系の不調
  • メンタルヘルスの問題
  • 慢性的な疲労
  • 睡眠障害

などがあります。
NIOSHも、交代勤務者では心血管疾患、糖尿病、
心理的な問題などのリスクが高い可能性を示しています。

企業として重要なのは、「夜勤だから仕方ない」と考えず、
長期的な健康リスクをできるだけ小さくする働き方を設計することです。

夜勤で睡眠障害が起こる4つの原因

深部体温やメラトニンのリズムが夜勤スケジュールに同調しない

夜勤の睡眠問題を理解するうえで、まず知っておきたいのが「体内時計」です。

人間の身体は、昼間に活動し夜に休むように設計されています。
夜になるとメラトニンの分泌が増え、深部体温も低下し、身体は眠る方向へ向かいます。
一方で朝になると光の刺激によって覚醒方向へ切り替わります。

夜勤では、この身体の自然なリズムに逆らって働かなければなりません。

例えば午前3時〜5時頃は、生理的に眠気が非常に強くなりやすい時間帯です。

その時間に、

  • 運転する
  • 機械を操作する
  • 患者対応をする
  • 重要な判断をする

必要があれば、睡眠不足がなくてもパフォーマンスが低下しやすくなります。
つまり夜勤の眠気は、「本人の気合い不足」ではありません。
身体の生理的な仕組みと勤務時間が合っていないことによって起こる問題なのです。

夜勤明けの帰宅時に朝の光を浴びて体内時計がさらにズレる

夜勤を終えて朝に帰宅すると、強い朝の光を浴びます。
光は体内時計にとって非常に強い刺激です。

夜勤者本人は「これから寝たい」と思っていても、
身体には「朝だから起きる時間だ」という信号が入ります。

そのため、
帰宅時は眠かったのに家に着くと目が冴える
寝つけても2〜3時間で目が覚める
といったことが起こりやすくなります。

夜勤者の睡眠対策では
「何時間眠るか」だけでなく、光をいつ浴びるかまで考える必要があります。

日中の明るさ・生活音・家族の予定で睡眠が分断される

昼間の睡眠には、夜の睡眠にはない難しさがあります。

外が明るいだけでなく

  • 生活音
  • 宅配便
  • 電話
  • 家族の活動
  • 工事音
  • 暑さ

などによって眠りが中断されやすいためです。

特に子育て中の従業員の場合、夜勤明けに帰宅しても家族は活動時間です。
「勤務は終わったけれど家庭では休めない」というケースも少なくありません。

企業側から見ると勤務時間だけで睡眠時間を推測しがちですが、
実際には退勤後に何時間休息を確保できているかまで考える必要があります。

シフトの逆循環と勤務間インターバルの不足

交代勤務では、シフトの「回転方向」も睡眠への負担に影響します。

一般的には「日勤 → 準夜勤 → 深夜勤」
のように勤務開始時刻を後ろへずらしていく「正循環」の方が、
逆方向に回すより体内時計を調整しやすいと考えられています。

また夜勤終了後から次の勤務まで十分な時間がなければ、
睡眠時間そのものを確保できません。

勤務表を作る際には「何時間働いたか」だけではなく
勤務と勤務の間に本当に睡眠・回復できる時間があるかを見ることが重要です。

夜勤前・夜勤中・夜勤明けにできる睡眠のセルフケア

夜勤対策で大切なのは、「毎日7〜8時間きれいに眠ること」だけを目指さないことです。

夜勤や交代勤務では、まとまった睡眠が難しい日もあります。

そのためLifreeでは、勤務パターンに合わせて、
主睡眠+仮眠+光+カフェイン」を組み合わせ
「眠気をゼロにする」のではなく
必要な時間帯にパフォーマンスを発揮できる状態をつくることを重視します。

夜勤前|勤務開始前に睡眠を「貯める」のではなく事前仮眠で補う

夜勤前は、できるだけ夕方まで普通に起き続けるより
勤務前に仮眠を入れる方法が有効です。

例えば夕方から夜にかけて1〜3時間程度眠っておくことで
夜勤中の睡眠圧を下げられます。

ただし、全員が同じ時間に眠れるわけではありません!

重要なのは「夜勤前は必ず2時間寝る」と固定するのではなく
自分がどのタイミングなら眠れるかを確認することです。

交代勤務では、自分に合う仮眠パターンを持つことが非常に大切になります。

夜勤中|仮眠は「取れるか」ではなく、いつ取るかまで決める

夜勤中に仮眠が可能な職場では、短時間の仮眠を積極的に利用しましょう。

15〜30分程度の仮眠は、眠気や疲労の軽減に役立つ場合があります。

ただし仮眠直後は「睡眠慣性」と呼ばれる、
頭がぼんやりする時間が生じることがあります。

そのため、起きてすぐに運転や危険作業へ戻るのではなく
少し覚醒する時間を設ける方が安全です。

カフェインも夜勤中の眠気対策に使えますが、
勤務終了直前まで摂取すると帰宅後の睡眠を妨げる可能性があります。

カフェインは「眠いから飲む」ではなく、
いつまで使い、いつから控えるかを決めておくことが重要です。

夜勤明け|眠気が強い状態で無理に帰宅しない

夜勤明けで最も危険なのが帰宅時です。

仕事中は緊張感で起きていても、勤務を終えた瞬間に強い眠気が出ることがあります。

特に車通勤の場合
「あと30分だから大丈夫」
と無理に運転することは避けるべきです。

Lifreeが交代勤務企業の支援設計を行った際にも、
深夜勤務後に30〜60分程度車を運転して帰宅する従業員がおり、
セミナーの中心テーマの一つを「夜勤後の通勤事故をどう防ぐか」に設定しました。

また「仮眠を取りましょう」という一般論ではなく、
勤務前、勤務中、退勤後のどのタイミングで仮眠を使うかまで具体化しています。

帰宅前に強い眠気がある場合は、
まず短時間でも休息を取ることを優先してもらい
帰宅後は遮光カーテンやアイマスクなどを使い、日中でも眠りやすい環境を整えます。

休日|毎回大きく生活リズムを振り切らない

夜勤後の休日に、一気に昼夜逆転を直そうとすると
かえって体調を崩すことがあります。

特に数日後にまた夜勤へ戻る場合は、

  • 夜勤用
  • 休日用
  • 日勤用

と睡眠時間が大きく動くため
身体が何度も時差ぼけのような状態になります。

勤務サイクルを見ながら
「どこまで日勤側へ戻すのか」を決めることが重要です。

連続夜勤時|すべてを変えず共通する睡眠時間をつくる

連続夜勤の場合は、毎日の睡眠時間が完全にバラバラになるより
一部でも共通する睡眠時間帯をつくる方法があります。

いわゆる「アンカースリープ」の考え方です。

例えば毎日午前9時〜13時は必ず眠り、足りない分を勤務前の仮眠で補う、といった方法です。
勤務形態や家庭環境によって最適な形は異なるのですが

重要なのは、理想的な睡眠を押し付けるのではなく
自分の勤務パターンの中で再現できる睡眠方法を見つけることです。

夜勤の睡眠障害を企業が放置する5つのリスク

ヒューマンエラーによる重大事故・ヒヤリハットの増加

夜勤による眠気は、安全性に直接影響します。

疲労が強くなると、

  • 反応速度が遅くなる
  • 注意力が続かなくなる
  • 短期記憶が低下する
  • 判断力が鈍る

といった変化が起こります。

2026年に更新されたNIOSHの資料でも、
疲労は反応時間、集中力、短期記憶、判断に影響するとされています。

特に運輸、製造、医療、建設などでは、
小さな判断ミスが重大事故につながる可能性があります。

プレゼンティーズムによる生産性の損失

事故が起きなくても、睡眠不足による損失は発生しています。

出勤はしているものの、

  • 作業速度が遅い
  • 判断に時間がかかる
  • 確認漏れが増える
  • コミュニケーションが雑になる

といった状態は、プレゼンティーズムとして企業の生産性を下げます。

夜勤対策では、「事故が起きていないから問題ない」ではなく
日常のパフォーマンス低下も見る必要があります。

高血圧・糖尿病などの生活習慣病と長期的な健康リスク

夜勤や交代勤務は、
睡眠だけでなく食事時間や運動習慣も不規則にしやすくなります。

深夜に食事をする、疲れて運動できない、
休日に長時間寝るといった生活が続けば、生活習慣病リスクにもつながります。

交代勤務者では、心血管疾患や糖尿病などのリスクが高い可能性が指摘されています。

メンタル不調と夜勤者の離職・採用コストの増加

夜勤者から、

「身体がついていかない」

「眠れないから辞めたい」

という声が出ることもあります。

睡眠不足が続くと感情調整もしにくくなり、ストレスへの耐性も低下しやすくなります。

企業にとっては、夜勤そのものをなくせなくても
夜勤者が長く働ける環境を整えることが人材定着の観点から重要です。

安全配慮義務違反や労災につながる可能性

夜勤があるだけで直ちに企業責任が生じるわけではありません。

しかし、強い眠気や健康問題を企業が把握していたにもかかわらず必要な対応を取らず、
その結果として事故や健康障害が発生した場合には、
安全配慮の観点から問題となる可能性があります。

企業としては、「本人が自己管理すべき」と切り離すのではなく、
健康診断、勤務設計、仮眠環境、受診勧奨などを含めた予防的な対応が重要です。

企業ができる夜勤の睡眠障害対策7つ

①シフトを「正循環」にできないか見直す

最初に確認したいのは、研修ではなくシフトそのものです。

本人にどれだけ正しい睡眠知識を伝えても、
身体が対応しにくい勤務設計であれば改善には限界があります。

日勤→準夜勤→深夜勤のような正循環を基本にできないか、
頻繁すぎる勤務変更がないかを確認しましょう。

もちろん、現場の人員配置や業務特性によって変更が難しい企業もあります。

その場合も、「変更できない」で終わらず、
最も睡眠が崩れやすい勤務帯や切り替え日を特定することが第一歩です。

Lifreeが3交代勤務の企業向けに設計した支援でも、
単純に「夜勤者」という括りで見るのではなく、
深夜勤務の初日が特に崩れやすいという現場の声を起点に、
勤務へ入る24〜48時間前からの睡眠設計を重点的に扱っています。

②勤務間インターバルと連続夜勤の負荷を確認する

シフト表を見る際は、「法定労働時間内か」だけではなく、
実際に休息できる時間があるかを確認します。

退勤してから、

  • 通勤
  • 食事
  • 入浴
  • 育児・介護

などを行えば、勤務間が11時間あっても11時間眠れるわけではありません。

勤務と勤務の間に、
現実的にどれくらいの睡眠時間を確保できるかまで考えることが重要です。

③仮眠を「本人任せ」にせず制度と環境を整える

「眠かったら休んでいい」と言われても、現場では休みにくいことがあります。

特に、

  • 周りが働いている
  • 上司が仮眠しない
  • 評価が気になる

という職場では、設備があっても利用されません。


そのため、

  • 仮眠を取ってよいことを明文化する
  • 時間帯を決める
  • 交代で休める人員配置にする
  • 暗く静かなスペースを確保する

といった制度設計が必要です。

仮眠室をつくるだけではなく、実際に使える風土までつくることが重要です。

④深夜業従事者の健康診断を確実に行う

法令対応も欠かせません。

深夜業などの特定業務に常時従事する労働者に対しては、
労働安全衛生規則第45条に基づき、配置替えの際および6か月以内ごとに1回、
定期健康診断を行う必要があります。

健康診断を「実施した」で終わらせず、
異常所見や本人の訴えがある場合は産業医等と連携し、
必要な就業上の措置につなげることも重要です。

⑤一般的な睡眠研修ではなく「自社のシフト別」に教える

夜勤者向け研修でよくある失敗が、一般社員と同じ睡眠衛生を伝えることです。

「毎日同じ時間に寝ましょう」
「夜はスマートフォンを控えましょう」

と言われても、毎週勤務時間が変わる交代勤務者には実践できません。

必要なのは、

  • 深夜勤の前日はどう眠るのか
  • 勤務前の仮眠はどうするのか
  • 勤務中はどう休むのか
  • 明けの日はどう眠るのか
  • 次の勤務帯へどう切り替えるのか

まで具体化することです。

Lifreeの交代勤務支援でも、
「自分の勤務パターンならこう眠る、こう仮眠する」と
本人が判断できる状態を研修のゴールにしています。

⑥睡眠状態を可視化する。ただし「管理」には使わない

アンケートやウェアラブルを使うことで、夜勤者の睡眠状態を把握できます。

特に企業の安全課題を見る場合は、

  • 睡眠休養感
  • 日中の眠気
  • 不眠傾向
  • 疲労
  • 行動変容

などが有効です。

Lifreeでは、安全・交代勤務型の企業では日中の眠気を測るESSなどを候補とし、
取得できるデータを全部集めるのではなく、
企業が解決したい課題から測定項目を逆算することを重視しています。

ウェアラブルについても、会社が従業員を監視するためではなく、
「自分の勤務パターンと睡眠の関係に本人が気づくためのツール」として使う方が
行動変容につながりやすいと考えています。

⑦産業医・専門医へつなぐルートを明確にする

睡眠研修ですべてを解決しようとしてはいけません。

強い眠気や不眠の背景に、

  • 交代勤務睡眠障害
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • うつ病
  • むずむず脚症候群

などが隠れている可能性もあります。

企業側は診断する必要はありません。

むしろ、
「この状態なら産業医へ」
「この場合は専門医受診を勧める」
というルートを事前に用意しておくことが重要です。

医療機関を受診する目安と治療法

セルフケアで改善しない場合に受診をする判断ライン

夜勤者本人が医療機関への相談を検討したいのは、

  • 勤務中の眠気で仕事に支障が出ている
  • 帰宅時の運転が危険だと感じる
  • 眠ろうとしても眠れない状態が続いている
  • 十分な睡眠時間を取っても強い眠気がある
  • いびきや無呼吸を指摘されている
  • 気分の落ち込みや意欲低下が続いている

といった場合です。

AASMの診断基準では、
交代勤務スケジュールに関連した不眠や過度の眠気が少なくとも
3か月続くことなどが診断上考慮されます。

ただし、事故につながるほど強い眠気がある場合に「3か月まで待つ」
という意味ではありません。

安全に影響する場合は早めに相談してください!

治療では、勤務スケジュールの調整、睡眠時間の確保、
光を使った体内時計調整などが検討され、
症状や背景疾患によっては薬物療法が用いられる場合もあります。

薬の種類や使用タイミングには専門的な判断が必要なので、
自己判断で睡眠薬などを使用するのではなく医師に相談しましょう。

企業側が伝えるべき注意点

企業が避けたいのは、

「あなたは睡眠障害だから病院へ行ってください」と診断するような伝え方です。

企業の役割は診断ではありません。


例えば、
「最近、勤務中の強い眠気が続いていると伺っています。
安全面もあるため、一度産業医に相談してみませんか」

というように、本人の困りごとと安全を起点に支援することが重要です。

また睡眠はプライベートな領域でもあるので
会社が過度に睡眠時間や生活を管理すると、
「私生活まで監視されている」と受け取られる可能性があります。

第三者である産業医や睡眠の専門家を活用し、
会社は管理するのではなく、改善できる環境を提供するという立場を明確にすることが大切です。

夜勤の睡眠障害対策を健康経営の指標に落とし込む方法

夜勤者向け施策は、
「睡眠セミナーを実施しました」で終わらせる必要はありません。

安全、健康、生産性という経営課題に結びつけ、継続的に評価できます。

「睡眠施策を実施したか」から「何が変わったか」へ

2026年度の健康経営度調査では、
「従業員の睡眠の質向上のために、どのような取り組みを行っていますか」という
Q55が独立設問となり、仮眠室、パワーナップ、照明、SAS検査、アプリ、ウェアラブル、
専門職による睡眠指導などが取り組み例として示されています。

ただし、健康経営として本当に重要なのは、選択肢にチェックを入れることだけではありません
夜勤者の状態が実際に改善したかを見る必要があります。

KPIは「参加→行動→状態→仕事」の順で考える

Lifreeでは、企業の成熟度に応じてKPIを段階的に設定する考え方を重視しています。

例えば夜勤者向け睡眠施策なら、

研修参加率

仮眠やカフェイン調整を実践した割合

睡眠休養感・日中の眠気の改善

プレゼンティーズム・ヒヤリハットの改善

という流れです。


健康経営を始めたばかりなら、まず参加率を上げることにも意味があります。

一方、ある程度参加が定着している会社が
毎年「参加率90%でした」で終わっていては成果は見えません。

満足度が高くても行動変容が起きていなければ、成功とは言い切れないのです。

夜勤対策では「眠気」「安全」「離職」をセットで見る

夜勤者の健康課題では、睡眠時間だけにKPIを置かないことをおすすめします。

例えば次のように組み合わせます。

観点KPI例
睡眠睡眠休養感、不眠、睡眠時間
眠気ESS、勤務中の強い眠気
行動仮眠実施率、セルフケア実践率
安全ヒヤリハット、眠気起因ミス
生産性プレゼンティーズム
人材夜勤者の離職率、欠勤率

すべてを測る必要はありません。

例えば事故防止が最大の経営課題なら、
ESS、睡眠休養感、ヒヤリハットなどを中心に見る。

人材定着が課題なら、疲労や睡眠状態と離職意向を見る。
企業が解決したい課題から逆算して、必要最小限の指標を選ぶことが重要です。

まとめ

夜勤の睡眠問題は、本人の自己管理だけで解決できる問題ではありません。

交代勤務では、
人間の体内時計と勤務スケジュールそのものが衝突するため、

「夜勤なのだから眠いのは仕方ない」
で終わらせず、個人と企業の両方から対策する必要があります。

本人には、勤務前の仮眠、勤務中の休息、カフェインや光の使い方、
夜勤明けの睡眠環境など、自分の勤務パターンに合わせたセルフマネジメントが必要です。

一方、企業には、シフト設計、勤務間インターバル、
仮眠環境、健康診断、睡眠教育、状態把握、医療連携という役割があります。

Lifreeが交代勤務企業をご支援する中でも特に感じるのは、
「正しい睡眠を教える」だけでは現場は変わらないということです。

夜勤者が知りたいのは、

「一般的にはこう眠るべき」

ではなく、

「自分の次の勤務なら、いつ眠ればいいのか」
「今夜眠気が強くなったらどうすればいいのか」
「明日の朝、安全に帰宅するには何をすればいいのか」

という具体的な答えです。

そして企業側も、「睡眠研修を実施した」という事実ではなく、

参加 → 行動変容 → 睡眠・眠気の改善 → 安全・仕事への影響

まで確認することで、夜勤対策を単なる福利厚生ではなく、
安全衛生・健康経営・人的資本への投資として位置づけられるようになります。

夜勤そのものをなくせない企業だからこそ、
夜勤があっても安全に、健康に、長く働ける仕組みをつくることが重要なのです。



睡眠に困ったときは専門家に相談を

「仕事が忙しくて睡眠時間を確保できない」「寝ても疲れが取れない」という方は、
睡眠の専門家に相談することで解決策を見つけることができます。
Lifree株式会社では、ビジネスパーソン向けに
パフォーマンスを最大化するための睡眠改善プログラムを提供しています。

睡眠の質を高め、日中の生産性を向上させる具体的な方法を知りたい方は
ぜひLifree株式会社までお問い合わせください。

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サトウ未来

睡眠コーチ/Lifree株式会社 代表取締役。
忙しいビジネスパーソンの生産性向上を目的とした
睡眠改善セミナーや実践プログラムを提供し、
これまで10万人以上の睡眠改善を支援。
光文社より書籍『働く女子の睡眠革命』を出版。
睡眠・回復を身体構造の分野から捉え、現場
経験をもとに実践型の指導を行う。