みなさん、こんにちは。
「日本人は睡眠時間が短い」
この言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
健康担当としても、
・睡眠不足がメンタル不調と関係していそう
・生産性や集中力にも影響がありそう
・でも“具体的に何が問題で、どう改善すべきか”が分かりにくい
そんなモヤモヤを感じている方は少なくありません。
本記事では、
日本人の睡眠時間がなぜ世界的に見て短いのかを整理しながら、
それがビジネスパーソンのパフォーマンスや企業経営にどんな影響を及ぼしているのか、
そして健康担当者としてどこから解決策を考えるべきかを解説します。
日本人は睡眠時間は本当に短いのか?【国際比較データ】
まずは国際的な基準から見てみましょう。
世界基準の「適正睡眠時間」
National Sleep Foundation によると、
成人が健康を維持するために推奨される睡眠時間は7〜9時間とされています。
これを下回る睡眠が続くと、
・生活習慣病リスクの上昇
・認知機能の低下
・メンタルヘルス不調
などが起こりやすくなることが報告されています。
さらにアメリカでは、
睡眠不足による経済的損失が年間数千億ドル規模にのぼると推計されています。
欧州でも同様に、
・生産性低下
・労働災害・事故増加
が問題視され、睡眠は「個人の問題」ではなく
社会・経済の課題として扱われています。
日本人の睡眠時間は世界ワーストクラス
では、日本はどうでしょうか。
厚生労働省
令和1年(2019年)「国民健康・栄養調査」によると、
・成人の 7割以上が睡眠時間7時間未満
・約半数が6時間未満
という結果が出ています。
これは先ほどの国際基準(7〜9時間)と比較すると、
明らかな慢性的睡眠不足状態です。
他の国際調査でも、日本は
・平均睡眠時間が短い
・睡眠満足度が低い
という点で、世界的に見ても下位常連。
→つまり日本は 「世界有数の睡眠不足大国」と言っても過言ではありません。
なぜ日本人はここまで眠れないのか?
ここで重要なのは、
「日本人は意識が低いから」「努力が足りないから」
ではない、という点です。
① 日本特有のビジネス文化
日本の職場には今もなお、
・長時間労働が評価につながりやすい
・忙しさ=頑張っている
・仕事量が個人に集中しやすい
といった構造が残っています。
結果として、
・帰宅時間が遅い
・寝る時間が後ろ倒しになる
という状況が常態化します。
② 仕事とプライベートの境界が曖昧
スマートフォンやチャットツールの普及により、
・夜間のメール対応
・休日でも仕事のことを考えてしまう
といった状態が増えました。
布団に入っても脳が休まらず、
睡眠の「量」だけでなく「質」も低下していきます。
睡眠時間の短さがビジネスパフォーマンスに与える影響
睡眠不足は、単なる「眠い」状態ではありません。
認知機能・判断力の低下
慢性的な睡眠不足は、
・集中力低下
・判断スピードの遅延
・ミスの増加
を引き起こします。
特にビジネスの現場では、
小さな判断ミスが大きな損失につながることも少なくありません。
メンタルヘルスへの影響
睡眠不足は、
・イライラ
・不安感
・抑うつ傾向
を増幅させます。
これは本人だけでなく、
職場の人間関係やチーム全体の雰囲気にも影響します。
日本経済に与える損失は「10兆円超」
ここで、非常に衝撃的なデータがあります。
アメリカの研究機関(RAND研究所)の試算では、
睡眠不足による日本経済への損失は年間約1,380億ドル。
日本円にすると、
→ 10兆円以上(世界ワースト1位)
この損失の中心にあるのが、プレゼンティーズムです。
プレゼンティーズムとは何か?
プレゼンティーズムとは、
心身に不調を抱えながら出勤し、
本来のパフォーマンスを発揮できていない状態
のこと。
日本のビジネスパーソンの多くは、
・出勤はしている
・しかし頭が回らない
・集中できない
・判断が遅れる
という状態で働いています。
→つまり 「働いているのに、最大成果が出ていない」
これが、睡眠不足がもたらす最大の問題です。
テストステロンが減ると「やる気」も落ちる? 睡眠から立て直すビジネスパーソンの回復戦略
睡眠不足が引き起こす“見えないコスト”
睡眠不足は、以下のような形でも企業・社会に影響します。
・医療費の増加
・休職・離職リスク増大
・労災・事故の増加
・教育・育成効率の低下
これらはすべて、目に見えにくいが確実に積み重なるコストです。
ビジネスパーソンにこそ「睡眠時間の最適化」が必要な理由
以上のデータから明らかなように、
・睡眠不足は個人の問題ではない
・ビジネスと経済の根幹に関わる問題
です。
特にビジネスパーソンは、
・判断
・創造
・コミュニケーション
といった脳機能を酷使する仕事が中心。
だからこそ、睡眠の質=仕事の質
と言っても過言ではありません。
「短時間睡眠でも大丈夫な人」は例外
もちろん、
・短時間睡眠でも問題なく活動できる
という方が一部存在するのも事実です。
ただしそれは、
ごく少数の遺伝的特性を持つ人に限られるケースがほとんど。
多くの人にとっては、
・睡眠不足=パフォーマンス低下
という関係が成り立ちます。
重要なのは、
→ 「何時間寝るべきか」ではなく 「自分にとって最適な睡眠を理解し、整えること」
健康担当者として考えるべき解決の方向性
重要なのは、
・何時間寝るかではなく
・自分たちの働き方に合った“回復できる睡眠”をどう作るか
です。
解決の第一歩は「可視化」
・部署別の睡眠時間
・睡眠満足度
・日中の眠気
を把握することで、
睡眠は個人課題から組織課題になります。
次の一手は「環境と行動」
・長時間労働の是正
・夜間業務の見直し
・睡眠教育・睡眠セミナー
・行動変容につながる施策
これらを組み合わせることで、
睡眠時間とパフォーマンスは確実に改善します。
まとめ|睡眠時間は最も過小評価されている経営資源
・日本人の睡眠時間は世界でも最短レベル
・睡眠不足は集中力・判断力・メンタルを低下させる
・日本経済への損失は10兆円超
・問題の中心はプレゼンティーズム
・睡眠は個人の甘えではなく構造的課題
睡眠は、
最もコストが低く、最も効果が高いパフォーマンス改善手段です。
「忙しいから寝られない」ではなく、「寝ていないから、忙しく感じている」
この視点転換こそが、
これからの健康経営・人的資本経営における重要な鍵になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
