Skip to content
ホーム » 健康経営と睡眠 » 睡眠不足は企業に年間1.3億円の損失を生む?1.1万人調査で見えた人的資本リスク

睡眠不足は企業に年間1.3億円の損失を生む?1.1万人調査で見えた人的資本リスク

[最終更新日:2026-06-19]

「社員が最近元気がない」
「休職者が増えている」
「若手の離職が止まらない」

そんな悩みを抱える経営者・人事担当者の方から、私たちLifreeはよくご相談をいただきます。

その原因として挙げられるのは、
評価制度やコミュニケーション不足、職場の雰囲気など、さまざまな要素です。

しかし、調査を進めると見落とされがちな根本原因が浮かび上がってきます。
それが「睡眠」です。

Lifree株式会社は、企業向け睡眠改善研修・プログラムを導入した180社以上の従業員を対象に、
研修受講前の睡眠状態とメンタルヘルスに関する実態調査を実施しました。

有効回答数は11,029名
IT・金融・製造・サービス・コンサルティングなど、業種を問わない幅広い企業の働く男女が対象です。

本記事では、この調査から見えてきた
「企業が気づいていない睡眠リスクの実態」を、データに基づいてお伝えします。

1. 従業員の6割超が「何らかの不眠リスク」を抱えている

まず、今回の調査における全体像から確認しましょう。

AIS(アテネ不眠尺度)で分類すると、
40.7%(4,493名)が「危険(不眠症の疑い)」
20.4%(2,246名)が「やや危険(不眠の兆候あり)」という結果になりました。
合わせると61.1%
つまり従業員の6割超が何らかの不眠リスクを抱えていることになります。

「眠れていない社員」はあなたの会社にも必ずいます。
しかも本人が気づいていないケースも少なくありません。

■ AIS(アテネ不眠尺度)とは 世界的に広く使われている不眠症の簡易評価ツールです。

  • 0〜3点:安全(不眠リスクなし)
  • 4〜5点:やや危険(不眠の兆候あり)
  • 6点以上:危険(不眠症の疑い)



2. 睡眠不足が企業にもたらす経済損失:1,000名企業で年間1.3億円

「でも、睡眠は個人の問題では?」という声をよく聞きます。
しかしデータはそれを否定しています。

厚生労働省発行の「企業の『健康経営』ガイドブック」では、
RAND Europe(2016年)の推計を引用し、睡眠不足に伴う欠勤や生産性低下による経済損失は
従業員一人あたり年間約32.8万円にのぼると示されています(1ドル110円換算時の2,986ドルを約32.8万円と算出)。


1,000名企業で計算すると、不眠リスク保有者は約407名
一人あたり32.8万円を乗じると、年間約1億3,362万円の経済損失になります。

この数字が示すのは「放置コスト」です。
睡眠改善プログラムへの投資は、この損失を減らすための経営判断と言えます。

自社の睡眠損失コストを試算レーション

では、あなたの会社ではいくらになるでしょうか
ぜひ従業員数を入力してシミュレーションしてみてください。

睡眠損失コスト計算機

自社の睡眠損失コストを試算する

500
50名5,000名
40.7%
20%60%

不眠リスク保有者数

204

×

一人あたり年間損失

32.8万円

=

年間経済損失

6,691万円

月換算で約 558万円/月 の損失が発生しています

もし不眠リスク者を半減できたら

年間 3,346万円 の損失を回避できます

※一人あたり32.8万円はRAND Europe(2016年)推計。厚生労働省「企業の『健康経営』ガイドブック」内引用。本試算はあくまで概算です。
※出典:Lifree株式会社「睡眠状態とメンタルヘルスに関する実態調査」(n=11,029名、研修受講前)

睡眠改善は、もはや「社員のためにやってあげる福利厚生」ではありません。
企業収益を直接守るための、コストパフォーマンスの高い経営戦略です。



3. 「ちょっと眠れない」が、うつリスクを約11倍に引き上げる

今回の調査で最も注目すべき発見の一つが、不眠とうつ症状の深い連動関係です。

分析では、AIS判定をもとに「不眠兆候あり群(AIS 4点以上)」と「不眠リスクなし群(AIS 0〜3点)」の2グループに分け、
それぞれで「中等度以上のうつ症状(QIDS 11点以上)」を抱える割合を比較しました。

グループ対象者数QIDS 11点以上の割合
不眠兆候あり(AIS 4点以上)6,739名18.3%(1,234名)
不眠リスクなし(AIS 0〜3点)4,290名1.7%(72名)

その差は約11倍。

「まだ不眠症とは言えない段階(やや危険・AIS 4〜5点)」から既に不眠の兆候がある人も含めると、
中等度以上のうつ症状を抱えるリスクが急激に跳ね上がることがわかります。

■ QIDS(簡易抑うつ症状尺度)とは 抑うつ症状の重症度を評価する国際的な指標です。

  • 6〜10点:軽度
  • 11〜15点:中等度
  • 16点以上:重度

中等度以上(11点以上)は、日常生活や業務への支障が生じやすいレベルとされています。

この数字が示す経営上の意味は非常に重大です。
職場でメンタル不調者が出たとき、その予兆として「少し眠れていない状態」が既に存在していた可能性が高い。

つまり、うつ症状が表面化する前の「睡眠の段階」でアプローチすることが、
最もコストが低く、かつ効果的な予防策だということです。

休職者が一人出れば、代替要員のコスト、業務の引き継ぎ負荷、職場の士気への影響など、
直接費用だけでは計れない損失が生まれます。
そのリスクを水際で防ぐ鍵が、睡眠への早期介入にあります。



4. 不眠とうつには強い相関がある:1万人データで見えた構造

11,029名のデータを不眠スコア(AIS)と抑うつスコア(QIDS)の2軸で散布図に落とすと、
その関係はより鮮明になります。

不眠スコアと抑うつスコアには相関係数r=0.64の強い正の相関があり、
不眠が重いほどうつも重くなる傾向が1万人規模のデータで裏付けられました。

特に右上の「危険域(AIS 6点以上かつQIDS 11点以上)」——不眠とうつを同時に重度で抱えている層——は全体の9.1%に達します。
100名の組織に約9名、1,000名の組織に約91名が存在する計算です。

一方、左下の「安全域(AIS 3点以下かつQIDS 5点以下)」は35.8%にとどまります。
つまり、完全にリスクのない従業員は3人に1人程度しかいない、というのが今の日本企業の実態です。



5. 属性別分析:誰が最も深刻なリスクを抱えているか

全体のリスクが見えたところで、次は「誰が特に深刻か」を属性別に見ていきましょう。

今回の分析では「不眠リスク(AIS 4点以上)かつ中等度以上のうつ症状(QIDS 11点以上)」
同時に抱える「二重リスク率」を指標として使用しました。
単独の指標よりも、休職・離職に直結するリスクを精度高く捉えられる指標です。

ヒートマップを見ると、女性の方が全体的に色が濃く
特に女性50代(15.1%)が最も暗い色(最高リスク)であることが一目でわかります。

男性は全体的に女性より低い水準ですが、男性20代(11.3%)は男性の中でワーストとなっています。


順位属性二重リスク率目安n数
1位女性 50代15.1%約6.6人に1人458名
2位女性 30代11.8%約8.5人に1人525名
3位男性 20代11.3%約8.9人に1人736名
4位女性 40代10.3%約9.7人に1人632名
5位男性 50代10.1%約9.9人に1人958名
6位女性 20代9.6%約10.4人に1人583名
7位男性 30代9.3%約10.7人に1人1,074名
8位男性 40代8.4%約11.9人に1人1,662名

以下では、特に注目すべき属性について詳しく見ていきます。



6. 【第1位】女性50代:すべての指標でワースト

今回の調査で最もリスクが高かったのが、女性50代(n=458名)です。


指標女性50代全体平均
AIS平均スコア6.29点全属性1位
QIDS平均スコア6.03点全属性1位
不眠リスク率(AIS≥6)52.0%40.7%+11.3pt
うつ中程度以上率(QIDS≥11)16.2%11.8%+4.4pt
二重リスク率15.1%11.2%+3.9pt

驚くべきは、不眠スコア・抑うつスコア・不眠率・うつ率・二重リスク率の
すべてにおいて全属性ワースト1位という事実です。

とりわけ「不眠症の疑い(AIS 6点以上)」に該当する割合が52.0%——2人に1人を超えているという数字は、
組織にとって看過できないリスク水準です。

女性50代は多くの企業において、管理職・専門職・プロジェクトリーダーとして組織の中核を担う世代です。
更年期による睡眠への影響も加わりやすく、家庭では親の介護と子どもの独立が重なる
「ダブルケア」の時期にある方も少なくありません。

こうした複合的な要因が、睡眠とメンタルの両面に負荷をかけていると考えられます。

この世代が本来のパフォーマンスを発揮できていない状態は、企業にとって知識・経験・判断力の損失を意味します。
女性活躍推進の観点からも、この層への健康投資は急務です。



7. 【第2位・第3位】女性30代・男性20代:若手・中堅層のリスクも深刻

「シニア層だけの問題」と思われがちですが、
今回の調査では若手・中堅層のリスクも無視できない水準にあることが明らかになりました。

女性30代(n=525名)は二重リスク率11.8%(約8.5人に1人)で全属性2位。
不眠率は43.8%、うつ中程度以上率は12.0%と、これも高水準です。
育児・家事と仕事の両立、キャリアの転換点という複数のストレス要因が重なる時期であることが背景にあると考えられます。

男性20代(n=736名)は二重リスク率11.3%(約8.9人に1人)で全属性3位。
不眠率37.9%、うつ中程度以上率11.3%という結果が出ています。
就職後の環境変化、長時間労働、スマートフォンによる夜間の光刺激など、睡眠を乱す要因が集中しやすい世代です。

この2属性に共通するのは、職場に定着してもらい、将来の組織を担う人材として育てていきたい層であるという点です。
早期に離職・休職が発生すれば、採用・育成に投じてきたコストが水泡に帰します。

若手・中堅層への睡眠支援は、採用コストの削減・エンゲージメント向上という観点でも高い投資対効果が期待できます。



8. なぜ「睡眠」への介入が最も費用対効果が高いのか

ここまでのデータを整理すると、企業における睡眠問題の深刻さが見えてきます。

  • 従業員の40.7%が不眠症の疑いを抱え、放置すれば1,000名企業で年間1億3,000万円超の損失につながる
  • 「ちょっと眠れない」段階から、うつリスクは約11倍に跳ね上がる
  • 不眠とうつには強い正の相関(r=0.64)があり、相互に悪化し合う構造がある
  • 女性50代の2人に1人が不眠リスクを抱え、二重リスク保有率は約6.6人に1人
  • 女性30代・男性20代も約8〜9人に1人が二重リスク状態にある

これだけのリスクが組織内に潜在しているにもかかわらず、
多くの企業では「メンタルヘルス対策=EAPの導入」「ストレスチェックの実施」にとどまっており、
睡眠という根本原因にアプローチできていません。

ストレスチェックは不調を
「検知」するツールですが、睡眠改善は不調を「未然に防ぐ」ツールです。

予防に投資することで、休職・退職・生産性低下という「後から発生するはるかに大きなコスト」を抑制できます。
また、睡眠改善は取り組みの効果を数値で可視化しやすい領域でもあります。

セミナー前後の睡眠スコア比較、メンタル指標の変化、プレゼンティーズム(出勤しているが生産性が低い状態)の改善率など、
経営層・人事担当者が説明責任を果たしやすいデータを提示できる点も、
健康経営・人的資本経営の推進において重要なポイントです。



9. Lifreeの睡眠改善プログラムが解決すること

Lifreeは2012年より企業向け睡眠改善プログラムを提供し、
現在までに180社以上・15万人以上の支援実績を持つ睡眠改善の専門企業です。

今回ご紹介した11,029名のデータは、まさにLifreeのプログラムを導入した企業の従業員が「受講前の状態」で回答したものです。
つまりこれは、「睡眠対策をしていない状態の組織がどれほどのリスクを抱えているか」を示すリアルなベースラインデータです。

Lifreeのプログラムでは、受講後に不眠スコア・抑うつスコアの改善が確認されており、
損害保険ジャパン様では睡眠リスクの半減とプレゼンティーズム170万円の改善
西日本電信電話様ではストレス値54%減という実績が出ています。

プログラムは単発の睡眠セミナー(1回60〜90分、20名〜500名以上対応)から、
認知行動療法を取り入れた継続型の睡眠改善プログラム(1ヶ月間)まで、企業の課題・規模・予算に応じて柔軟にご提案しています。

特に今回の調査で浮き彫りになった女性50代・女性30代・男性20代という層には、
それぞれの世代が抱える睡眠課題(更年期・育児ストレス・夜間のデジタル機器使用など)に応じた
カスタマイズコンテンツをご用意しています。



10. まとめ:睡眠は「経営資源」である

本記事でお伝えしたデータを改めて整理します。

  1. 従業員の40.7%が不眠症の疑いを抱えており、1,000名企業での年間損失は約1億3,362万円に達する
  2. 不眠の兆候がある人は、ない人に比べ中等度以上のうつ症状のリスクが約11倍に跳ね上がる
  3. 不眠とうつには強い相関(r=0.64)があり、「少し眠れない」段階からすでに連動が始まっている
  4. 女性50代は全指標でワースト1位。2人に1人が不眠リスクを抱え、約6.6人に1人が不眠とうつを同時に抱えている
  5. 女性30代・男性20代も約8〜9人に1人が二重リスク状態にあり、若手・中堅層への早期介入も急務

「眠れない社員」を放置することは、優秀な人材の能力を毀損し、
最終的には離職・休職というかたちで企業に多大なコストをもたらします。

逆に言えば、睡眠という切り口から従業員の健康を守ることは、
人的資本を守り、企業の持続的な成長を支える最も費用対効果の高い投資の一つです。

「睡眠は個人の問題」という時代は終わりました。
眠れる組織こそが、生産性が高く、人が育ち、利益が出る組織です。

まずは上記の計算機で自社の損失額をシミュレーションしてみてください。
その数字が、睡眠改善への第一歩になるはずです。

調査概要

項目内容
有効回答数11,029名
調査対象Lifreeの企業向け睡眠改善研修・プログラムを導入した企業(IT・金融・製造・サービス等、業種を問わず180社以上)に所属する従業員(研修受講前)
調査手法AIS(アテネ不眠尺度)、QIDS(簡易抑うつ症状尺度)を用いた定量調査
調査主体Lifree株式会社

本調査に関するお問い合わせ

本調査データの詳細・引用に関するお問い合わせ、および睡眠改善プログラムのご相談は、下記よりお気軽にご連絡ください。

Lifree株式会社 URL:https://lifree.world/
お問い合わせ:https://lifree.world/#contact

※本調査を引用される場合は、出典「Lifree株式会社 睡眠状態とメンタルヘルスに関する実態調査(2025年)」を
明記のうえ、Lifree(https://lifree.world/)へのリンクをお願いいたします。


アバター画像

サトウ未来

睡眠コーチ/Lifree株式会社 代表取締役。
忙しいビジネスパーソンの生産性向上を目的とした
睡眠改善セミナーや実践プログラムを提供し、
これまで10万人以上の睡眠改善を支援。
光文社より書籍『働く女子の睡眠革命』を出版。
睡眠・回復を身体構造の分野から捉え、現場
経験をもとに実践型の指導を行う。