[最終更新日:2026-07-06]

「健康経営に取り組みたいが、本当に費用に見合う効果があるのだろうか?」
健康経営への関心が高まる一方で、
このような疑問を持つ経営者や人事・総務担当者は少なくありません。
健康診断やストレスチェック、睡眠セミナー、運動プログラムなど、
さまざまな健康施策がありますが、
「実際にどの程度の効果が期待できるのか」
「どのように投資対効果を判断すればよいのか」が分からず、
導入に踏み切れない企業も多いでしょう!
特に近年では、健康経営優良法人認定や人的資本経営への関心が高まり、
「健康経営を始めたい」という相談を受ける機会も増えています。
しかし実際にお話を伺うと、多くの企業が同じ悩みを抱えています。
- 「経営層へどう説明すればいいのか」
- 「費用対効果をどう示せば予算が取れるのか」
- 「本当に成果が出るのか分からない」
このような不安を感じるのは当然です。
しかし、私たちLifreeが180社以上・10万人以上の企業をご支援してきた中で感じるのは
健康経営は『費用』ではなく『投資』として考える企業ほど成果が出ているということです。
実際、睡眠改善を中心とした健康施策では、
- 不眠スコア平均50.6%改善
- ストレス指標35.6%改善
- eNPS29.5%向上
- プレゼンティーズム改善
など、組織パフォーマンスの改善につながった企業も少なくありません。
健康経営は、短期間で利益を生み出す施策ではありません。
そこで本記事では、
- 健康経営における費用対効果とは何か
- なぜ「投資対効果」で考えるべきなのか
- 効果をどのように測定すればよいのか
- 実際にどのような費用がかかるのか
- 投資対効果を高める進め方
まで、実際の企業支援経験も踏まえながら詳しく解説します。
健康経営における費用対効果とは|「投資対効果」で考える理由
費用対効果とは|かけた費用に対して短期で得られる効果
費用対効果とは、
「かけた費用に対して、どれだけ効果が得られたか」を表す考え方です。
例えば100万円を投資して、
すぐに150万円の利益が生まれたのであれば、費用対効果は高いと考えられます。
設備投資や広告費などでは、このような短期的な考え方がよく用いられます。
しかし、健康経営は少し事情が異なります。
睡眠改善や運動習慣、食生活の改善は、今日取り組んだからといって
翌月の売上が急激に伸びるものではありません。
従業員一人ひとりの健康状態が改善し、
それが生産性や組織力の向上につながるまでには、一定の時間が必要です。
そのため、健康経営を短期的な費用対効果だけで判断してしまうと、
「思ったほど効果がない」と誤解されることも少なくありません。
投資対効果とは|長期的な収益性で評価する考え方
健康経営では、「費用対効果」よりも「投資対効果(ROI)」
という考え方が重要になります。
投資対効果とは、短期的な利益ではなく
「将来どれだけ企業価値や利益につながるか」を評価する考え方です。
例えば健康経営に取り組むことで、
- プレゼンティーズムが改善する
- 離職率が下がる
- メンタル不調による休職が減る
- 採用力が向上する
- エンゲージメントが高まる
といった変化が起こります。
これらは一つひとつを見ると数値化が難しく感じますが
企業全体で見ると生産性や利益に大きく影響する要素です。
つまり健康経営は、「今年いくら儲かったか」ではなく
「5年後、10年後も競争力のある会社であり続けるための投資」と考えることが重要です。
健康経営は「投資対効果」で見るべき理由
近年、人的資本経営という考え方が広がる中で、
「従業員への投資」が企業価値を左右すると言われています。
健康経営もその一つです。
実際に経済産業省でも、健康経営は単なる福利厚生ではなく、
企業価値向上につながる経営戦略として位置づけられています。
私たちが企業をご支援する中でも、成果が出ている企業には共通点があります。
それは、「健康施策を実施すること」が目的ではなく、
「どのような組織をつくりたいか」を明確にしていることです。
例えば、
- 「若手社員の離職を減らしたい」
- 「管理職の疲弊を改善したい」
- 「プレゼンティーズムを減らして生産性を高めたい」
など、自社の経営課題から逆算して健康経営を設計しています。
反対に、
「健康経営優良法人の認定を取りたい」
「健康に良いことをやろう」といった目的だけでは、
継続的な成果につながりにくい傾向があります。
健康経営は、健康のために取り組むものではありません。
企業の未来をつくるための投資として取り組むことが、費用対効果を最大化する第一歩なのです。
健康経営で期待できる4つの費用対効果
生産性・パフォーマンスの向上
健康経営における最も大きな効果は、生産性の向上です。
特に近年では、
「プレゼンティーズム(出勤しているものの、本来のパフォーマンスを発揮できていない状態)」が
企業損失の大きな要因として注目されています。
睡眠不足や慢性的な疲労は、集中力や判断力、記憶力の低下につながり、
業務効率やコミュニケーションの質にも影響します。
私たちLifreeがご支援した企業でも、睡眠改善に取り組んだ結果、
プレゼンティーズムが平均60%改善した事例や、
営業チームの売上が157%向上した事例、
業務ミスが34件から4件へ減少した事例もありました。
健康経営は、「健康な社員を増やすこと」が目的ではなく、
一人ひとりが本来のパフォーマンスを発揮できる状態をつくることが大きな価値なのです。
企業イメージ・採用力の向上
近年、求職者が企業を選ぶ基準は大きく変化しています。
以前は給与や福利厚生が重視されていましたが、
現在では、
- 「安心して長く働ける会社か」
- 「従業員を大切にしている会社か」
- 「健康や働きやすさに配慮している会社か」
といった視点で企業を選ぶ人が増えています。
そのため、健康経営への取り組みは、
採用活動においても大きなアピールポイントになります。
また、健康経営優良法人の認定取得や人的資本経営への取り組みを公開することで、
取引先や金融機関、投資家など社外からの評価向上にもつながります。
しかし、ここで注意したいのは、
「採用のため」「ブランディングのため」だけを目的に健康経営へ取り組まないことです。
私たちが支援してきた企業でも、本当に採用力が高まっている企業には共通点があります。
それは、健康経営を採用活動のためではなく
「従業員が働きやすい会社をつくるため」に取り組んでいることです。
その結果として、
「社員を大切にしている会社」という評価が広がり、
採用力や企業ブランドの向上につながっています。
つまり、採用力は健康経営の”目的”ではなく
従業員を大切にした結果として得られる効果なのです。
離職率の低下と人材の定着
近年、多くの企業で課題となっているのが人材の定着です。
採用コストは年々増加し、
一人採用するために数十万円から数百万円かかるケースも珍しくありません。
だからこそ、「採用すること」以上に、
まずは「辞めない組織をつくること」が重要になっています。
その点で健康経営は、その定着率向上にも大きく関係します。
睡眠不足や慢性的な疲労、ストレスが続くと、
- 仕事への意欲が低下する
- 人間関係のストレスが増える
- メンタル不調につながる
といった悪循環が起こりやすくなります。
反対に、健康状態が改善すると、
- 仕事への満足度
- エンゲージメント
- 心理的安全性
なども向上しやすくなります。
実際にLifreeでも、睡眠改善プログラム実施後に
eNPS(従業員推奨度)が29.5%向上した事例があります。
もちろん健康経営だけで離職がゼロになるわけではありません。
しかし、「この会社は自分たちの健康や働き方を真剣に考えてくれている」と感じられる企業ほど、
長く働きたいと思う従業員が増える傾向があります。
従業員の通院・休職の減少
健康経営は、医療費や休職コストの抑制にもつながります。
生活習慣病やメンタル不調は、突然発生するものではありません。
多くの場合、
- 睡眠不足
- 慢性的な疲労
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
などが積み重なり、徐々に健康状態が悪化していきます。
つまり、不調が表面化してから対応するのではなく、
その前段階で予防することが健康経営の重要な役割です。
特に近年は、メンタル不調による休職者が増加しています。
私たちも企業をご支援する中で、
「休職者が出てから相談する」のではなく、
「その前に睡眠やストレス状態を把握しておけば防げたかもしれない」
というケースを数多く見てきました。
健康経営は、治療のための取り組みではありません。
不調を未然に防ぎ、健康に働き続けられる環境をつくることが大きな目的なのです。
健康経営の費用対効果(投資対効果)を見極める方法
健康経営は、「やった」「やらない」で判断するものではありません。
重要なのは、
“自社にとってどれだけ効果があったのか”
を継続的に評価することです。
ここで大切なのが、
「費用対効果」ではなく「投資対効果」という考え方です。
短期的に利益が出るかではなく、
企業の課題がどれだけ改善したかという視点で見ることが重要になります。
効果を測る判断基準|健康状態・欠勤率・医療費・生産性など
健康経営の効果を判断する際には、
自社の課題に合わせて指標(KPI)を設定することが重要です。
例えば、次のような項目を継続的に確認すると、
施策の効果を把握しやすくなります。
| 判断基準 | 確認する内容 |
|---|---|
| 従業員の健康状態 | 健康診断結果、睡眠状態、ストレス、メンタル指標 |
| 欠勤率 | 病気欠勤、休職者数、有給取得状況 |
| 医療費 | 健保データ、医療費、保険料の変化 |
| 生産性 | プレゼンティーズム、業務効率、業務ミス |
| 定着率 | 離職率、退職理由 |
| 参加率 | セミナーや健康施策への参加状況 |
| ワークライフバランス | アンケートによる満足度 |
| 従業員満足度 | eNPS、エンゲージメント調査 |
ここで重要なのは、すべてを測ることではありません。
自社が、
「離職率を改善したい」のか、「プレゼンティーズムを改善したい」のか
によって、見るべき指標も変わります。
自社の課題に合ったKPIを設定することが、投資対効果を正しく判断する第一歩です。
データ収集とKPI設定による確認方法
効果を測定するには、継続的なデータ収集が欠かせません。
例えば、次のような方法があります。
| 確認方法 | 内容 |
|---|---|
| 健康診断 | 健康状態の変化を把握 |
| ストレスチェック | メンタル状態を把握 |
| 睡眠サーベイ | 睡眠課題の可視化 |
| 従業員アンケート | 満足度や困りごとを把握 |
| KPI設定 | 数値目標を設定する |
| 外部評価 | 専門家による分析・アドバイス |
Lifreeでも企業をご支援する際は、
「セミナーを実施して終わり」ではなく、施策前後で睡眠状態やストレス状態を測定し、
改善状況を数値で確認しています。
健康経営は感覚で評価するのではなく、
データをもとに改善を積み重ねることが成果につながります。
年次・四半期・月次でモニタリングするサイクル
投資対効果は、一度確認すれば終わりではありません。
継続的にモニタリングすることで、初めて改善につながります。
おすすめの確認サイクルは以下の通りです。
| 頻度 | 確認内容 |
|---|---|
| 毎月 | 施策の進捗、参加率、現場の声 |
| 四半期 | プレゼンティーズム、欠勤率、生産性 |
| 半年 | KPI達成状況、施策の見直し |
| 年1回 | 健康診断、医療費、離職率、ROIの総合評価 |
健康経営は、一度施策を実施して終わりではありません
「測定→改善→測定」を繰り返すPDCAサイクルを回すことで、自社に合った健康経営へと進化していきます。
健康経営にかかる費用の種類
健康経営を始める際、
「どれくらい費用がかかるのだろう」と不安に感じる担当者は少なくありません。
しかし実際には、健康経営は一律に決まった費用がかかるものではなく、
自社の課題や取り組み内容によって大きく異なります。
また、高額な施策を導入すれば成果が出るわけでもありません。
私たちがご支援する中でも、
成果が出ている企業ほど「自社の課題に合った施策」に投資しています。
ここでは、代表的な費用を整理します。
環境整備にかかる費用|設備・制度・人材
健康経営では、従業員が健康的に働ける環境を整えるための費用が発生します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 仮眠スペース・休憩室 | パワーナップ用スペースの整備 |
| リラックスルーム | 休憩・リフレッシュスペース |
| オフィス環境改善 | 照明・空調・防音・観葉植物など |
| 昇降デスク | 座りすぎ対策 |
| オフィスチェア | 身体負担軽減 |
| 給水設備 | 水分補給環境の整備 |
| 健康アプリ導入 | 健康管理ツール |
| 福利厚生制度 | 運動補助・食事補助など |
| フレックスタイム制度 | 働き方改善 |
| 勤務間インターバル制度 | 睡眠時間確保 |
| 健康経営担当者 | 推進担当者の配置 |
| 社内委員会 | 健康経営推進体制づくり |
これらを一度にまた必ず導入する必要はありません。
重要なのは、自社の課題に合った環境整備を優先することです。
例えば、睡眠不足が課題なら仮眠制度や勤務間インターバル制度、
肩こりや腰痛が多い職場ならオフィス環境改善を優先するなど、
課題に応じた投資が費用対効果を高めます。
外部委託にかかる費用|健康診断・ストレスチェックなど
専門機関や外部サービスを活用する場合には、次のような費用が発生します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定期健康診断 | 法定健康診断 |
| 人間ドック補助 | 福利厚生として実施 |
| ストレスチェック | 年1回の実施 |
| 産業医契約 | 面談・職場改善 |
| 保健師相談 | 健康相談・保健指導 |
| EAP(外部相談窓口) | メンタルヘルス支援 |
| 健康経営コンサルティング | 制度設計・認定支援 |
| 健康セミナー | 運動・食事・メンタル・睡眠など |
| 睡眠状態サーベイ | 睡眠状態の可視化 |
| 睡眠改善プログラム | 行動変容支援 |
| 健康アプリ・スリープテック | 継続支援ツール |
| SAS(睡眠時無呼吸症候群)検査 | 高リスク者の早期発見 |
私たちは、この中でも特に
「現状把握」と「行動変容支援」への投資をおすすめしています。
どれだけ良い制度を導入しても、自社の課題が分からなければ適切な施策は選べません。
また、セミナーだけで終わってしまうと、知識は増えても行動は変わりにくいからです。
費用を抑える助成金の活用
健康経営は、自社だけで費用を負担しなければならないとは限りません。
自治体や健康保険組合では、
- 健康づくり事業助成
- 健康経営支援制度
- セミナー開催補助
- 健康診断補助
- 人間ドック補助
などを実施しているケースがあります。
また、健康保険組合によっては、
睡眠セミナーや運動プログラム、保健指導などを補助対象としている場合もあります。
健康経営を始める際は、
自社が加入している健康保険組合や自治体の制度を確認するとよいでしょう。
健康経営の費用対効果を高める5ステップ
STEP1 :健康宣言を行う
健康経営は、まず経営層が「なぜ取り組むのか」を明確に宣言することから始まります。
重要なのは、
「健康経営優良法人を取得するため」ではありません。
「従業員が健康で、生き生きと働ける会社をつくる」という目的を全社へ共有することです。
STEP2 :従業員のお困りごとや現状をデータで把握する
次に行うべきことは、自社の健康課題を把握することです。
健康診断やストレスチェックだけでは見えない課題もあります。
例えば、
- 睡眠状態
- プレゼンティーズム
- エンゲージメント
- 疲労感
- メンタル状態
などをアンケートやサーベイで
可視化することで、本当に改善すべき課題が見えてきます。
健康経営は
「何をやるか」を決める前に「何に困っているか」を把握することが重要です。
STEP3 :データをもとに課題に合った施策を実施する
課題が明確になったら、それに合った施策を実施します。
例えば、
- 睡眠不足が多いなら睡眠セミナーや睡眠改善プログラム。
- 高ストレス者が多いならメンタルヘルス施策。
- 運動不足が多いなら運動施策。
というように、自社の課題から
逆算して施策を設計することが重要です。
私たちも企業をご支援する際は
「今ある課題」に合わせて施策を設計しています。
STEP4 :効果測定を行う
施策を実施したら終わりではありません。
実施前後で、
- 睡眠状態
- ストレス
- プレゼンティーズム
- 離職率
- エンゲージメント
などを比較し、本当に改善したのかを確認します。
これにより
康経営が感覚ではなく、数字で説明できるようになります。
STEP5 :従業員へフィードバックし改善を続ける
最後に重要なのが、結果を従業員へ共有することです。
例えば、
- 「睡眠状態が改善しました」
- 「ストレスが減少しました」
- 「疲れが取れて、朝スッキリ起きレルようになりました」
などを伝えることで、従業員は
「会社が本気で健康経営に取り組んでいる」と感じやすくなります。
そして、その結果をもとに次年度の施策へつなげていくことが
健康経営を継続させるポイントです。
健康経営に取り組む際の注意点
経営層が主導する
健康経営は福利厚生ではなく、経営戦略です。
そのため、人事や総務だけに任せるのではなく、
経営層が目的を繰り返し発信することが重要です。
担当者を決め、推進体制を整える
健康経営は一人で進められるものではありません。
人事、総務、管理職、産業医などが
連携しながら進める体制を整えることで、継続しやすくなります。
自社の課題を正しく把握する
「健康経営を始めたい」ではなく、
「何を改善したいのか」を明確にすることが重要です。
睡眠なのか。
メンタルなのか。
食事や運動なのか。
課題によって必要な施策は大きく変わります。
従業員目線で施策を設計する
私たちが180社以上をご支援してきた中で感じるのは、
健康経営が成功する企業ほど、
「会社がやりたい施策」ではなく「従業員が困っていること」を起点に考えていることです。
健康意識が高い人だけが参加する施策では、組織全体の変化は生まれません。
だからこそ、従業員が参加しやすく
行動を変えやすい施策を設計することが、費用対効果を高めるポイントになります。
まとめ
健康経営は、「費用対効果があるか」という短期的な視点ではなく
「投資対効果」という長期的な視点で考えることが重要です。
私たちが多くの企業をご支援する中で実感しているのは、
成果が出る企業には共通点があるということです。
それは、「健康経営優良法人の取得」や「セミナーの実施」を目的にするのではなく、
従業員が何に困っているのかを把握し、その課題を改善し続けていることです。
健康経営は、一度取り組めば終わりではありません。
「健康宣言」「現状把握」「施策実施」「効果測定」「フィードバック」のサイクルを繰り返しながら、
自社に合った健康経営へ育てていくことが、最も高い投資対効果につながります。
従業員への投資は、未来の企業価値への投資です。
短期的な費用ではなく、5年後、10年後の組織づくりという視点で
健康経営に取り組むことが、持続的な企業成長への第一歩となるでしょう。
