[最終更新日:2026-10-27]

「ストレスチェックや相談窓口は設けているのに、メンタル不調による休職者が減らない」
「健康経営の取り組みを進めたいけれど、どんな施策から始めればよいかわからない」
「従業員が無理なく参加できて、毎日の生活で続けられるメンタルヘルス対策はないだろうか」…
このような悩みを抱える、人事・総務・健康経営担当者も多いのではないでしょうか。
企業のメンタルヘルス対策というと、
ストレスチェック、相談窓口、管理職研修などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、これらは重要な取り組みです。
しかし、制度を整えるだけでは
従業員のメンタル不調を十分に防げないこともあります!
大切なのは、職場のストレス要因を減らす取り組みと、
従業員自身が日々の心身のコンディションを整える取り組みを、両方進めることです。
特にLifreeが注目しているのが「睡眠」です。
睡眠はメンタルヘルスと密接に関係しており、
日々の小さな生活習慣から非常に取り組みやすいテーマ。
この記事では、
健康経営におけるメンタルヘルス対策の基本から、
具体的な8つの施策、企業事例、実施の進め方まで解説します。
健康経営とメンタルヘルスの関係とは
健康経営とは、
従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践することです。
従業員の健康を単なる個人の問題として扱うのではなく、
企業の持続的な成長を支える重要な経営課題として考えます。
その中でもメンタルヘルスは、欠かすことのできないテーマです。
メンタルヘルスとは、単に精神疾患がない状態だけではありません。
心理的に安定し、ストレスに対処しながら、
仕事や日常生活を送れる心の健康状態を含みます。
従業員が強いストレスやメンタル不調を抱えると、
休職や離職だけでなく、出勤していても集中力や判断力が低下し、
十分なパフォーマンスを発揮できなくなることがあります。
そのため、健康経営では、
メンタル不調者への対応だけでなく、不調を未然に防ぎ、
従業員が心身ともに健康な状態で働ける環境をつくることが重要です。
Lifreeでは、企業の健康施策を考えるときに「何の制度を導入するか」よりも、
まず「従業員が何に困っているのか」を把握することを大切にしています。
メンタルヘルス対策も同様です。
ストレスチェックを実施することや研修を開催することがゴールではありません。
その結果、従業員の困りごとがどれだけ軽減されたかを考える必要があります。
健康経営でメンタルヘルス対策が求められる背景
メンタルヘルス対策が重要視されている背景には、
メンタル不調による休職・離職、職場のストレス問題、企業の安全配慮義務などがあります。
メンタル不調による休業・退職は企業にとって身近な課題
厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、
過去1年間にメンタルヘルス不調によって連続1か月以上休業した労働者、
または退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%でした。
このような状況は、従業員本人だけでなく、企業にも影響を与えます。
休職者が出れば、周囲の従業員に業務が集中することがあり
退職につながれば、新たな採用や教育の負担も発生します。
さらに、メンタル不調は突然発生するとは限りません。
睡眠の乱れ、疲労の蓄積、集中力の低下、遅刻や欠勤の増加など、
日常の小さな変化として現れる場合もあります。
だからこそ、休職者が出てから対応する
だけでなく、早い段階から不調に気づき、対策を講じることが大切です。
メンタルヘルス対策は実施していても、十分とは限らない
同調査では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.8%でした。
つまり、取り組みが十分に広がっているとはいえない状況です。
一方で、取り組んでいる企業でも、
ストレスチェックや相談窓口の設置だけで終わっている場合があります。
重要なのは、施策の実施数を増やすことではありません!
従業員のストレス要因が減っているか、
相談しやすい職場になっているか、
心身の状態に変化が生まれているかまで確認することです。
参考:令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)の概況|厚生労働省
企業には従業員の心身を守る「安全配慮義務」がある
企業には、労働契約法第5条に基づき、
従業員が生命や身体などの安全を確保しながら働けるよう、必要な配慮を行う義務があります。
この安全には、身体的な健康だけでなく、精神的な健康も含まれます。
例えば、過重労働やハラスメントなどによって
従業員の健康が損なわれるリスクを把握しながら、必要な対応を行わなかった場合には
安全配慮義務が問題になる可能性があります。
メンタルヘルス対策は、
健康経営の認定取得のためだけに行うものではなく、
企業が従業員の健康を守るうえで必要な取り組みです。
健康経営でメンタルヘルス対策に取り組む4つのメリット
生産性が上がり、プレゼンティーズムを減らせる
メンタル不調は、休職や欠勤だけでなく、
出勤していても十分なパフォーマンスを発揮できない「プレゼンティーズム」にも関係します。
例えば、ストレスや睡眠不足によって集中力が続かない、
判断に時間がかかる、ミスが増えるといった状態です。
職場環境の改善やセルフケア支援によって心身の状態が整えば、
こうした仕事への悪影響を軽減できる可能性があるのです。
ただし、生産性の改善には業務量や職場環境など複数の要因が関係するため、
施策の効果は継続的に確認することが重要となります。
休職・離職が減り、人材が定着しやすくなる
メンタル不調による休職や離職は、
本人にとって大きな負担であると同時に、企業にとっても人材の損失につながります。
相談しやすい環境を整え、過重労働や人間関係の問題を改善し、
不調を早期に発見できる体制をつくることは、
従業員が安心して働き続けられる職場づくりにつながります。
また、休職者に対する復職支援を整えることも、
再休職の予防や職場への定着を考えるうえで重要です。
労災や訴訟などの経営リスクを抑えられる
メンタルヘルス対策は、企業のリスク管理という側面もあります。
過重労働やハラスメントなど、健康障害につながり得る職場の問題を放置すると、
労災申請や損害賠償請求などの問題に発展する可能性があります。
そのため、日常的な労働時間管理、相談体制
管理職教育、産業医との連携などを整えることが大切です。
ただし、制度を設ければ法的責任がなくなるわけではありません。
実際に問題を把握し、適切に対応できる体制になっているかが問われます。
企業イメージが上がり、採用にも強くなる
従業員の健康を大切にする姿勢は、
求職者や取引先に対しても企業の魅力を伝える要素になります。
特に人材確保が難しい業界では、
働きやすい職場環境やメンタルヘルス支援の充実が、
採用・定着の面でプラスに働く可能性があります。
ただし、Lifreeでは、健康経営の認定取得や
企業イメージの向上だけを目的にしないことが大切だと考えています。
従業員の健康状態が実際に良くなり、
安心して働ける環境が整った結果として、
企業への信頼が高まることが持続する大きなポイントなのです。
従業員のメンタル不調を招く4つの要因
メンタル不調には、職場環境、生活習慣
個人の健康状態など、さまざまな要因が関係します。
ここでは企業が特に注意したい4つの要因を紹介します。
長時間労働・過度な業務量
長時間労働や過度な業務量は、従業員の心身に大きな負担をかけます。
仕事が終わらない状態が続くと、
休息や睡眠の時間が削られ、
疲労が十分に回復しないまま翌日の勤務を迎えることになります。
また、業務量が多いだけでなく、
仕事の裁量が少ない、納期へのプレッシャーが強い、
周囲から十分な支援を受けられないといった状況もストレス要因になり得ます。
企業としては、労働時間だけでなく、
業務の偏りや仕事内容、休息時間の確保まで確認する必要があります。
職場のコミュニケーション不足
職場で相談できる相手がいない、上司に悩みを伝えにくい、
チーム内で十分な情報共有が行われていないといった環境は、
ストレスを抱え込みやすくする要因です。
特にテレワークでは、
同僚の表情や日常の様子が見えにくく、
体調やメンタル面の変化に気づきにくい場合があります。
定期的な1on1やチーム内のコミュニケーションの機会を設け、
困ったときに相談しやすい関係をつくることが大切です。
ハラスメント
パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントなどは、
従業員の心理的安全性を損ない、メンタル不調につながる重大な職場の問題です。
ハラスメント対策では、相談窓口の設置だけでなく、
相談者のプライバシー保護、不利益な取り扱いの防止、
事実確認、再発防止まで含めた対応が必要です。
また、管理職への教育を通じて、
日常的にハラスメントが発生しにくい職場環境を整えることも重要です。
睡眠不足
睡眠不足は、メンタルヘルスと非常に密接に関係する要因の一つです。
睡眠というと、疲れを取るためのものと考えられがちですが、
実際には感情の調整、ストレスへの対応、
記憶や判断など、脳の働きにも深く関係しています。
睡眠が不足すると、感情のコントロールが難しくなったり、
イライラしやすくなったり、ストレスに対して過敏に反応したりすることがあります。
また、集中力や判断力が低下すると、
普段なら問題なく対応できる仕事でもミスが増え、
それがさらにストレスにつながる可能性があります。
ここで重要なのは、
睡眠不足とメンタル不調は、一方向だけの関係ではないということです。
睡眠不足が続くことでメンタル不調のリスクが高まる一方、
ストレスや不安、うつ症状などによって眠れなくなることもあります。
つまり、

という悪循環が生じることがあります。
実際に、睡眠と精神疾患の関連については、多くの研究が行われています。
不眠とその後のうつ病発症との関連を調べた縦断研究のメタ解析では、
不眠がある人は、ない人に比べて、
その後のうつ病発症リスクが高いことが報告されています。
また、睡眠を改善する介入がメンタルヘルスに及ぼす影響を調べた
ランダム化比較試験のメタ解析でも、睡眠の改善が
精神的健康の改善につながることを支持する結果が示されています。
参考:The effects of improving sleep on mental health (OASIS):
a randomised controlled trial with mediation analysis|The Lancet Psychiatry
こうした研究からも、睡眠は単なる疲労回復の問題ではなく、
メンタルヘルス対策としても重要なテーマだと考えられます。
ただし、睡眠不足がすべてのメンタル不調の原因になるわけではありません。
また、睡眠を改善すれば精神疾患が必ず治るというものでもありません。
すでに強い抑うつ症状や不安、不眠が続いている場合には、
医療機関や産業医など専門家への相談が必要です。
企業の健康経営では、職場のストレス要因を減らすことと並行して
従業員が日常生活で睡眠を整えられるよう支援することが、
メンタル不調の予防を考えるうえで重要になります。
メンタルヘルス対策の基本となる「3つの予防」と「4つのケア」
企業のメンタルヘルス対策を考えるうえで
基本となるのが、厚生労働省が示している「3つの予防」と「4つのケア」です。
3つの予防|一次予防・二次予防・三次予防
| 分類 | 目的 | 具体的な取り組み |
|---|---|---|
| 一次予防 | メンタル不調を未然に防ぐ | 職場環境改善、ストレス対策、睡眠改善、研修 |
| 二次予防 | 不調を早期に発見し、対応する | ストレスチェック、相談窓口、産業医面談 |
| 三次予防 | 休職者の回復と職場復帰を支援する | 復職支援、業務調整、再発予防 |
重要なのは、どれか一つだけではなく、3つを組み合わせることです。
特に、すでに休職者が出ている企業では
三次予防に目が向きがちですが、今後の不調者を減らすためには一次予防も欠かせません。
セルフケア|従業員が自分のストレスに気づいて対処する
セルフケアとは、従業員自身がストレスや心身の変化に気づき、適切に対処することです。
例えば、ストレスへの対処法を学ぶ、
十分な休息を取る、睡眠や運動などの生活習慣を整える、
必要に応じて相談することなどが含まれます。
ただし、セルフケアは従業員だけに責任を負わせるものではありません。
企業側が実践しやすい環境や情報を提供することが重要です。
ラインケア|管理職が部下の変化に気づき、相談にのる
ラインケアとは、管理監督者が部下の心身の変化に気づき、必要な対応を行うことです。
例えば、遅刻や欠勤の増加、仕事のミス、
表情や言動の変化などに気づいた際に、適切な声かけや相談につなげます。
管理職自身が診断や治療を行うのではなく、
必要に応じて人事や産業保健スタッフにつなぐことが重要です。
事業場内産業保健スタッフ等によるケア|産業医・保健師・人事が連携する
産業医、保健師、衛生管理者、
人事労務担当者などが連携して、従業員の健康管理を支援することです。
ストレスチェック後の対応、
健康相談、職場復帰支援、管理職への助言などを担います。
個人情報の取り扱いや守秘義務に配慮しながら、適切な支援につなげる体制が必要です。
事業場外資源によるケア|外部の専門機関やサービスを活用する
社内だけでは対応が難しい場合には、
外部の医療機関、EAP(従業員支援プログラム)、産業保健総合支援センターなどを活用します。
特に、従業員が社内の人に相談しにくい場合、
外部の相談先があることで相談のハードルが下がることがあります。
Lifreeでも、睡眠という個人の生活に関わるテーマだからこそ、
企業が従業員の生活を直接管理するのではなく、
外部の専門家が本人の意思を尊重しながら支援することを大切にしています。
健康経営で取り組みたいメンタルヘルス対策の具体策8選
ここからは、企業が実際に取り組みやすいメンタルヘルス対策を8つ紹介します。
1. ストレスチェックと集団分析で職場の課題を見える化する
ストレスチェックは、従業員自身がストレスに気づく
きっかけになるだけでなく、職場の課題を把握するためにも活用できます。
例えば、部署ごとに仕事の負担感、
上司や同僚からの支援、ストレス反応などを比較することで、
改善すべき職場環境が見えてきます。
大切なのは、実施した結果を保管して終わらせないことです。
集団分析を活用し、業務量や人員配置、
コミュニケーションなど、実際の職場環境の改善につなげましょう。
2. 社内外の相談窓口を設けて周知する
相談窓口は、設置するだけでは十分ではありません。
従業員が「どこに相談すればよいかわからない」
「相談したことが上司に知られるのではないか」と不安に感じていれば、利用につながりません。
相談方法、守秘義務、利用できる時間、
相談後の対応などをわかりやすく周知することが重要です。
社内窓口に加えて、外部相談窓口を用意することも有効です。
3. セルフケア・ラインケアのメンタルヘルス研修を行う
一般社員向けには、ストレスへの気づき方、対処方法、相談先などを伝えます。
管理職向けには、部下の変化に気づくポイント、
声かけの方法、相談を受けた際の対応などを学んでもらいます。
研修では、知識を伝えるだけでなく、
実際の職場で起こり得る場面を使ったケーススタディや
参加型のワークを取り入れると、実践につながりやすくなります。
4. 産業医・保健師・外部EAPとの連携を強化する
メンタル不調者への対応を、人事担当者や管理職だけで抱え込まないことが重要です。
産業医や保健師、外部EAPなどと役割分担を明確にし、
早期相談、医療機関への受診勧奨、復職支援などにつなげます。
また、従業員の健康情報は慎重に扱い、本人のプライバシーを守ることが欠かせません。
5. 睡眠改善など、社員が毎日の生活で実践できるセルフケアを支援する
メンタルヘルス対策というと、
ストレス対処法やカウンセリングを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、Lifreeが特におすすめしているのが、睡眠改善を入口にしたセルフケア支援です。
その理由は大きく2つあります。
まず、睡眠はメンタルヘルスと密接に関係していることです。
睡眠不足が続くと、感情の調整が難しくなり、
ストレスへの対応力や日中の集中力にも影響することがあります。
そしてもう一つが、
睡眠改善は毎日の生活の中で、
頑張らずに取り組める方法を見つけやすいことです。
例えば、朝起きたらカーテンを開ける、寝室の環境を少し整える、
カフェインを飲む時間を見直す、入浴のタイミングを変えるなど、
日常の小さな行動から始められます。
Lifreeでは、
企業向け睡眠改善支援の中で、「頑張らない改善」を大切にしてきました。
実際、参加者からは
「これならできそう!簡単で続けやすいことが多かった!」
という声もいただいています。
メンタルヘルスに関心が高くない従業員でも、
「最近疲れが取れない」「朝すっきり起きたい」といった身近な悩みからなら、
参加するきっかけをつくりやすくなります。
6. 長時間労働を見直し、休息時間を確保する
従業員にセルフケアを促しても、長時間労働によって
睡眠や休息の時間が確保できなければ、十分な改善は期待できません。
残業時間の削減、業務量の見直し、人員配置の調整、
勤務間インターバルの確保など、企業側の働き方改革も重要です。
特に夜勤・交代勤務者については、勤務時間だけでなく、
連続勤務や勤務間の休息時間なども含めて検討する必要があります。
7. 1on1などで職場のコミュニケーションを活性化する
定期的な1on1やチームミーティングを通じて、
従業員が困りごとを相談しやすい環境を整えます。
重要なのは、単に面談の回数を増やすことではありません。
従業員の話を丁寧に聞き、
必要に応じて業務調整や専門家への相談につなげることです。
また、相談した内容が不利益な評価につながらないように配慮することも欠かせません。
8. 休職者の復職支援プログラムを整える
メンタル不調によって休職した従業員が、安心して職場復帰できる仕組みを整えます。
主治医や産業医の意見を踏まえながら、
勤務時間や業務内容を段階的に調整し、復職後も定期的にフォローすることが重要です。
復職できたことだけをゴールにするのではなく、
再休職を防ぎ、安定して働き続けられる状態を目指します。
参考:心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き|厚生労働省
健康経営としてメンタルヘルス対策を進める5つのステップ
ステップ1|経営トップが方針を宣言する
まず、経営トップがメンタルヘルス対策に取り組む目的を明確にします。
「健康経営優良法人の認定を取りたい」だけでなく、
「従業員が安心して働ける職場をつくりたい」
「心身の不調による休職を減らしたい」など目指す状態を共有することが重要です。
Lifreeでは、健康経営を進める際に、経営層と担当者が
「なぜ健康経営に取り組むのか」を最初にすり合わせることをおすすめしています。
ステップ2|推進体制をつくる
人事・総務だけでなく、経営層、管理職
産業医、保健師などが連携できる体制を整えます。
それぞれの役割を明確にし、従業員から相談があった際に
誰がどのように対応するのかを決めておきましょう。
また、施策の企画だけでなく、実施後の評価や改善まで担当する体制が必要です。
ステップ3|ストレスチェックや健診データで課題を把握する
次に、自社の現状を確認します。
ストレスチェック、健康診断、休職・離職状況、
労働時間、従業員アンケートなどを活用して、どこに課題があるのかを整理します。
睡眠についても、睡眠で休養が取れているか、
日中の眠気が強くないか、疲労が蓄積していないか
などを確認すると、メンタルヘルス対策の手がかりになります。
ただし、個人の健康情報は適切に管理し、
集計や分析の際にはプライバシーに配慮することが必要です。
ステップ4|課題に合わせた施策を計画・実施する
課題が見えてきたら、それに合った施策を選びます。
例えば、長時間労働が課題なら業務量の見直し、
相談しにくい職場なら管理職研修や相談体制の改善、睡眠不足や疲労が多いなら睡眠改善支援などです。
Lifreeでは、企業が実施したい施策から考えるのではなく、
従業員の困りごとから施策を選ぶことを大切にしています。
睡眠セミナーも、すべての企業に同じ内容を実施するのではなく、
従業員の働き方や課題に合わせて設計することが重要です。
ステップ5|効果を検証して改善する
施策を実施したら、その成果を確認します。
参加率や満足度も重要ですが、それだけで終わらせないことが大切です。
Lifreeでは、次の流れで評価することをおすすめしています。
- 参加
- 行動変容
- 健康状態
- 仕事への影響
施策の成熟度に合わせて、参加状況から実際の健康・仕事への変化まで評価する。
例えば、睡眠改善施策であれば、参加率だけでなく、
実践率、睡眠状態、日中の眠気、疲労などを確認します。
さらに、結果を従業員へフィードバックし、
「皆さんからこうした課題が挙がったため、
今回の施策を実施しました」と伝えることも大切です。
従業員自身が、自分たちの声が施策に反映されていると
感じられることで、次の取り組みにも参加しやすくなります。
健康経営でメンタルヘルス対策に取り組む企業事例3選
ここでは、Lifreeが実際に支援した企業の事例を3つ紹介します。
3社に共通するのは、睡眠セミナーやサーベイによって従業員の睡眠課題を把握し、その後、改善を希望する従業員に対して実践型の睡眠改善プログラムを提供したことです。
睡眠はメンタルヘルスと密接に関係するため、企業のメンタルヘルス対策を考えるうえでも参考になる取り組みです。
事例①|オフィス機器・ITサービス業界:2年間の睡眠セミナーから、3年目に個別改善プログラムへ
あるオフィス機器・ITサービス関連企業では、
従業員の健康づくりの一環として、Lifreeの睡眠セミナーを導入しました。
最初の2年間は、約500名を対象とした睡眠セミナーを開催。
まずは幅広い従業員に、睡眠の重要性や日常生活で実践できる改善方法を
知ってもらうことから始めました。
そして3年目には、セミナーによる啓発から一歩進み、
睡眠改善を希望する従業員に対して実践型のプログラムを実施しました。
この取り組みの特徴は、最初から全員に同じ改善プログラムを提供するのではなく、
全体への啓発を経て、改善意欲のある従業員への支援へと段階的に発展させたことです。
プログラム前後の結果(20名)
| 評価指標 | 開始前 | 終了後 | 平均点の低下率 |
|---|---|---|---|
| 日中の眠気(ESS) | 6.95 | 5.95 | 14.4% |
| 不眠度(AIS) | 9.20 | 6.35 | 31.0% |
| 抑うつ関連指標(QIDS-J) | 9.35 | 7.85 | 16.0% |
| 蓄積疲労 | 19.20 | 13.90 | 27.6% |
睡眠だけでなく、抑うつ関連指標や
蓄積疲労にも改善方向への変化が見られました。
事例②|通信業界:約4,000名の睡眠サーベイから改善プログラムへ
ある大手通信関連企業では、約4,000名を対象に睡眠サーベイを実施。
その結果を踏まえ、改善を希望する従業員に睡眠改善プログラムを提供しました。
プログラム参加者の評価結果
| 評価指標 | セミナー前 | 終了時 | 平均点の低下率 |
|---|---|---|---|
| 日中の眠気(ESS) | 9.18 | 5.26 | 42.7% |
| 不眠度(AIS) | 9.78 | 3.80 | 61.1% |
| 抑うつ関連指標(QIDS-J) | 8.93 | 4.47 | 49.9% |
セミナー前102名、終了時91名の集計平均を比較。
不眠度に加えて、抑うつ関連指標にも大きな低下が見られました。
大規模な睡眠サーベイで課題を把握し、希望者への重点支援につなげた事例です。
事例③|製造・印刷業界:3年間の啓発から4週間の集中改善へ
ある製造・印刷関連企業では、3年間にわたり1200名へ睡眠サーベイとセミナーを実施。
4年目には、改善を希望する従業員40名を対象に、4週間の睡眠改善プログラムを導入しました。
プログラム前後の結果(40名)
| 評価指標 | 開始前 | 終了後 | 平均点の低下率 |
|---|---|---|---|
| 日中の眠気(ESS) | 9.12 | 3.62 | 60.3% |
| 不眠度(AIS) | 8.75 | 3.87 | 55.7% |
| 抑うつ関連指標(QIDS-J) | 11.50 | 5.37 | 53.3% |
終了後のアンケートでは、参加者40名全員が「睡眠が改善した」と回答しました。
継続的な啓発に加え、個人に合わせた実践支援を取り入れ、
睡眠とメンタル関連指標の変化を確認した事例です。
3社に共通するのは、睡眠の「啓発」から「実践・改善」へ進めていること
3社とも、最初から全従業員に改善プログラムを実施したわけではありません。
まずセミナーやサーベイで睡眠への理解を深め、
課題を把握したうえで、改善を希望する従業員に実践支援を提供しています。
Lifreeでは、健康施策は「実施して終わり」ではなく、
従業員の行動や健康状態がどう変わったかまで確認することが重要だと考えています。
社員が日常で実践しやすい施策なら、睡眠改善がおすすめ
ここまで、企業が取り組むべきメンタルヘルス対策を紹介してきました。
ストレスチェック、相談窓口、職場環境の改善、
管理職研修などは、いずれも欠かせない取り組みです。
そのうえでLifreeが、
従業員の日常生活に働きかける施策としておすすめしているのが、睡眠改善です。
理由は、メンタルヘルスとの関連が深く、
健康意識の高低にかかわらず、毎日の生活から取り組みやすいテーマだからです。
① 特別な努力をしなくても、毎日の小さな習慣から始められる
睡眠改善というと、「毎日8時間寝なければならない」
「生活を大きく変えなければならない」と考える方もいるかもしれません。
しかし、Lifreeが大切にしているのは、
必ずしも睡眠時間を増やすことだけではありません。
朝の光を浴びる、寝室の明るさを調整する、カフェインの時間を見直す
入浴のタイミングを変えるなど、現在の生活の中で取り入れられる方法もあります。
特別な道具を用意したり、
新たに長い時間を確保したりしなくても始められることが、睡眠改善の魅力です。
もちろん、慢性的な睡眠不足がある場合には、十分な睡眠時間を確保することが基本です。
生活習慣の工夫だけで睡眠不足を補えるわけではありません。
それでも、「今の生活の中で、まず一つ変えられることを見つける」という考え方は、
忙しい従業員にとって取り組みやすい入口になります。
② メンタルヘルスに関心が低い社員にも参加してもらいやすい
企業の健康施策でよく聞く悩みの一つが
「本当に支援したい従業員ほど参加してくれない」というものです。
特にメンタルヘルスに関する施策では、
「自分はメンタル不調ではない」「周囲から不調者だと思われたくない」と感じ
参加をためらう人もいます。
一方、睡眠は「朝すっきり起きたい」「疲れを取りたい」
「仕事中の眠気を減らしたい」など、誰もが身近に感じやすいテーマです。
Lifreeでも、メンタルヘルスという言葉を前面に出すより、
睡眠や疲労回復を入口にすることで、
従業員が前向きに参加できる施策づくりを大切にしてきました。
ただし、睡眠改善はメンタルヘルス対策のすべてを代替するものではありません。
職場のストレス要因の改善や専門的な相談体制と組み合わせることが重要です。
③ 約30〜50の習慣から、自分の生活に合う方法を選べる
睡眠の悩みは、一人ひとり異なります。
寝つきが悪い人、夜中に目が覚める人、睡眠時間が足りない人、
夜勤によって生活リズムが不規則な人など、課題が違えば必要な対策も異なります。
Lifreeでは、約30〜50の生活習慣の選択肢をもとに、
本人が自分の課題や生活に合う方法を見つけ、実践することを大切にしています。
全員に同じ方法を押しつけるのではなく、
自分で選ぶことで「やらされている健康施策」から
「自分のための健康習慣」へ変えていくことを目指しています。
Lifreeの集計では、6か月後も86.9%が習慣を継続したという実績があります。
ただし、この数値は対象者、回答者数、継続の定義、調査方法を明示したうえで掲載する必要があります。
大切なのは、単に習慣の数が多いことではありません。
自分に合った方法を見つけ、無理なく続けられることです。
④ 睡眠だけでなく、メンタル面の変化も確認できる
Lifreeでは、睡眠改善施策の成果を
「参加者が満足したか」だけで判断しないことを大切にしています。
睡眠状態や日中の眠気、疲労、メンタル関連指標などを
事前・事後で確認することで、従業員の状態がどのように変化したかを把握できます。
Lifreeの過去の集計では、不眠に関する指標で約50%、
メンタル関連指標で約35%の改善方向への変化が報告された実績もあります。
ただし、対象集団や評価指標、算出方法が異なる結果を一律に比較することはできません。
これらは特定のプログラムにおける観察結果であり、
すべての企業で同じ変化が得られることを保証するものではありません。
Lifreeが重視しているのは、
「睡眠を改善すれば必ずメンタル不調がなくなる」ということではなく、
睡眠という日常的なテーマから心身のコンディションを整える力を身につけることです。
⑤ まずは無料のWEB体験セミナーで、内容を確認できる
「睡眠改善がメンタルヘルス対策に役立つことは
わかったけれど、実際にどのような内容なのか確認したい」
という人事・健康経営担当者向けに、
Lifreeでは無料のWEB体験セミナーをご用意しています。
体験セミナーでは、企業が睡眠に取り組む必要性、
日本人が快眠しづらい理由、従業員の睡眠行動を変える方法、
法人向け睡眠改善の進め方などを紹介しています。
人事・経営者・健康経営担当者向け。
睡眠改善施策の考え方や内容を無料で確認できます。
また、企業の課題に合わせて睡眠セミナー、睡眠サーベイ、
実践支援などを検討したい場合は、法人向けサービスをご覧ください。
法人向け睡眠改善サービスの内容を見る
健康経営のメンタルヘルス対策に関するよくある質問
従業員50人未満の会社でもメンタルヘルス対策は必要?
はい。企業規模にかかわらず、
従業員の心身の健康を守るための取り組みは重要です。
なお、ストレスチェック制度については、
2025年の法改正により50人未満の事業場にも義務化が拡大されることとなりました。
施行時期は公布後3年以内に政令で定められるため、
最新の制度情報を確認する必要があります。
小規模事業場では、地域産業保健センターなどの支援も活用できます。
健康経営優良法人の認定でメンタルヘルス対策は評価される?
はい。
健康経営優良法人の認定制度では、
メンタルヘルス不調への対応やストレスチェック、職場環境改善など、
従業員の心身の健康に関する取り組みが評価対象に含まれています。
ただし、具体的な評価項目は年度や認定区分によって異なるため
最新の申請資料を確認してください。
Lifreeでは、認定取得そのものをゴールにするのではなく
従業員の健康状態が実際に良くなることを重視しています。
メンタルヘルス対策の効果はどうやって測ればいい?
施策の目的に応じて、複数の指標を組み合わせることをおすすめします。
例えば、ストレスチェックの集団分析結果、
休職・離職状況、相談窓口の利用状況、従業員の睡眠や疲労、プレゼンティーズムなどです。
短期的には参加率や行動変容、中期的には心身の状態、
長期的には休職や仕事への影響などを確認すると、施策の成果を整理しやすくなります。
何から始めればいいかわからない場合はどうすればいい?
まずは、従業員が何に困っているのかを把握することから始めましょう。
ストレスチェックや健診結果、
労働時間、従業員アンケートなどを確認し、優先すべき課題を整理します。
そのうえで、職場環境の改善、
相談体制の強化、セルフケア支援などを組み合わせます。
睡眠不足や疲労が多い場合には、
睡眠改善を入口にした施策も選択肢の一つです。
まとめ|メンタルヘルス対策は制度づくりと日常のセルフケアを両立させることが重要
健康経営におけるメンタルヘルス対策は、
ストレスチェックや相談窓口を設けるだけで完結するものではありません。
長時間労働やハラスメント、職場のコミュニケーションなどの問題を改善しながら
従業員自身が心身のコンディションを整えられるよう支援することが重要です。
その中でも、睡眠改善はメンタルヘルスと密接に関係し、
日常生活の小さな行動から始めやすい施策です。
Lifreeが企業の睡眠改善を支援してきて感じるのは、
健康施策で本当に大切なのは、従業員に「正しいことを教える」ことではなく、
「自分に合った方法を見つけ、実践できる状態をつくる」ことだということです。
企業が「健康に気をつけてください」と伝えて
終わるのではなく、その働き方や生活の中で健康を守る方法まで一緒につくる。
そして、参加率や満足度だけでなく、行動や健康状態がどう変わったのかまで確認する。
そうした取り組みの積み重ねが、
従業員の健康と、持続的に働ける職場づくりにつながると考えています。
