
4月・10月の新入社員シーズン。
新しい職場、新しい人間関係、慣れない業務。
希望に満ちたはずのスタートが、
わずか数週間で「不調」「不安」「眠れない」に変わることは少なくありません。
健康担当の方ほど、こんな葛藤を抱えています。
・「離職が怖い。でも“メンタル”って言葉が重くて踏み込みにくい」
・「本人から相談が来ない。面談につながらない」
・「コロナ禍で採用が途切れて、先輩社員と年齢が離れている。現場がどう支えたらいいか分からない」
・「上司も忙しく、OJTが“業務指導だけ”になっている」
現場で多くの社員を見てきた中で、私が強く感じるのは、
メンタルケアの第一歩は“睡眠ケア”であるということです。
カウンセリングや面談よりも前に、まず「眠れる体と脳」を取り戻す。
これが、立ち直りの最短ルートになります。
そしてこれは“根性論”ではなく、組織の仕組みとして設計できる一次予防です。
厚生労働省の公表では、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、
たとえば令和4年3月卒で
・高卒:37.9%
・大卒:33.8%
という数字が示されています。
もちろん離職理由は複合的で、「メンタル不調」だけに単純化はできません。
ただ、健康面談や研修の現場で新入社員からよく出てくる言葉は、驚くほど共通しています。
・「眠れない日が増えました」
・「朝がしんどい」
・「集中できない」
・「ちょっとしたことで涙が出る/イライラする」
ここに気づけると、打ち手が見えてきます。
新入社員の不調の入り口は、しばしば“心”ではなく“睡眠(=脳の回復不足)”から始まる
そしてコロナ禍で採用が空白だった企業ほど、年齢差・経験差が大きく、
「相談できる先輩が近くにいない」「雑談がない」「困ったを言いづらい」環境になりやすい。
この“支援の空白”が、睡眠を崩しやすい土壌になります。
睡眠は、脳と心のリセットタイム。
夜の眠りの中で脳は「記憶の整理」と「感情の処理」を進めています。
睡眠が削れると、仕事の覚えが悪くなるだけでなく、
・些細な指摘が刺さりやすい
・失敗が頭から離れない
・「自分は向いてないかも」と極端に結論づける
・人間関係のストレスが増幅する
といった“新人が落ちやすい沼”に入りやすくなります。
ここが重要で、本人の性格や根性の問題ではなく、
回復不足の脳が「危険だ」「無理だ」と判断しやすい状態になっているだけ、
というケースが多いのです。
不安と緊張で、夜に脳が止まらない
初めての上司・業務・評価。
“見られている感覚”が続くと、夜になっても交感神経が落ちず、入眠困難・中途覚醒につながります。
夜型生活+スマホ刺激が抜けない
大学時代の生活リズムや、就寝前スマホの習慣が残っていると、寝つきが遅れやすい。
さらに新人期は「明日どうしよう」「不安」で検索が止まらず、刺激を重ねてしまいます。
先輩との年齢差で“雑談のセーフティネット”が薄い
コロナ禍で採用が空白だと、近い年齢の先輩が少ない。
「こんなこと聞いていいのかな」が増え、小さな不安が溜まりやすい。
溜まった不安は、夜に回収されて睡眠を削ります。
ここからが実務パートです。
Lifreeが企業で実装しているのは、「本人の手上げ」を待たずに
一次予防を進めるための、睡眠を入口にした設計です。
1)新入社員オリエンに「睡眠リテラシー」を入れる(15分でいい)
伝えるべきは深い専門知識ではなく、安心と行動の優先順位です。
・新人期は睡眠が乱れやすい(異常ではない)
・眠れない日は「対処」すればいい(自分を責めない)
・まずは“固定する1点”を作る(例:起床時刻)
新人に響く言い方はこれです。
「眠れない=弱い」ではなく、「環境が変わった脳の正常反応」
この一言だけでも、セルフケアへの抵抗が下がります。
2)「睡眠セルフチェック」を週1で回す(匿名+本人向けフィードバック)
ストレスチェックは個人特定が難しいですが、
睡眠チェックは“健康習慣”として扱えるため、心理的ハードルが下がります。
おすすめは以下の5項目(1分で終わる形式):
・入眠に30分以上かかった日が週3回以上ある
・夜中に2回以上起きることが週3回以上ある
・起きた瞬間から疲れている
・日中、会議やPC作業で強い眠気がある
・休日に寝だめが必要
ポイントは、結果を「管理」ではなく「本人の気づき」に返すこと。
部署単位の傾向だけを健康担当が見れば、個人特定せずに一次予防(職場環境の調整)へつなげられます。
※ストレスチェック制度でも、集団分析を活用した職場環境改善が一次予防として重要だと整理されています。
睡眠チェックは、その“日常版”として相性が良いです。
3)勤務間の回復を守る(新人だけでもルール化)
新人はまだ仕事配分を自分でコントロールできません。
だからこそ最初の3ヶ月は、仕組みで守るのが効果的です。
例)
・「21時以降の連絡は原則翌朝」
・「研修期間は残業禁止/週1回は定時退社」
・「納期は“睡眠を削らない前提”で組む」
厚労省も、勤務終了後〜翌日の出社までに一定の休息時間を確保する
「勤務間インターバル」の考え方を示しています。
全部署でいきなり難しければ、新入社員期間だけの“回復保護ルール”から始めると通りやすいです。
4)メンター/上司に「睡眠の見立て」を渡す(声かけテンプレが効く)
年齢差があるほど、上司は「どう声をかけたら…」で止まりがちです。
だからテンプレが効きます。
NG例
・「気合いで慣れよう」
・「みんな通る道だよ」
・「眠れないのは考えすぎ」
OK例(睡眠から入る)
・「最近、寝つきどう?朝起きるのつらくない?」
・「睡眠が崩れると新人期はきつくなるから、今週は“起床時間だけ固定”してみようか」
・「寝る前のスマホ、10分だけ短くするの一緒に実験してみない?」
“心”ではなく“睡眠”を話題にすると、
メンタルのレッテル貼りにならず、会話の扉が開きやすいのが現場の実感です。
健康担当が全員を面談で救うのは現実的ではありません。
だからこそ「設計」が効きます。
0〜30日:生活リズムを崩さない
・起床時刻固定(休日も±1時間)
・就寝前の刺激を減らす(スマホ・仕事の持ち帰り)
・週1睡眠チェック開始(本人フィードバック+部署傾向)
31〜60日:疲労が溜まる時期=回復の仕組みを足す
・定時退社デーを作る
・研修の詰め込みを減らす(休憩と振り返りの挿入)
・上司・メンターへ声かけテンプレ配布
61〜90日:「向いてないかも」が出やすい=睡眠×仕事の整理
・“眠れている日は何が違う?”のセルフ内省ワーク
・仕事の詰まりポイントを見える化(睡眠不足と絡む)
・必要なら産業保健へ自然につなぐ(「眠れないが続くなら専門家に相談しよう」)
新入社員のメンタル不調は、本人の弱さではありません。
急激な環境変化と、眠れない体制のまま走らせてしまう“仕組み”の問題です。
・睡眠は、最も抵抗が少ない一次予防の入口
・個人特定が難しくても、集団傾向と環境調整はできる
・コロナ採用空白の企業ほど、テンプレと仕組みが効く
Lifreeの現場でも、メンタル対策として「相談窓口を増やす」だけでは動かなかった組織が、
睡眠を入口にした途端に“自然に整い始めた”ケースを何度も見てきました。
眠れる社員は、折れにくい社員になる。
そして、眠れる新人は育ちます。
「仕事が忙しくて睡眠時間を確保できない」「寝ても疲れが取れない」という方は、
睡眠の専門家に相談することで解決策を見つけることができます。
Lifree株式会社では、ビジネスパーソン向けに
パフォーマンスを最大化するための睡眠改善プログラムを提供しています。
睡眠の質を高め、日中の生産性を向上させる具体的な方法を知りたい方は
ぜひLifree株式会社までお問い合わせください。