[最終更新日:2026-03-25]

「健康経営優良法人の認定を取りたい」
そう言われて最初に困るのが「そもそも認定基準が分からない」
という状態です。
・5つの評価項目って何?
・どこまでやれば認定される?
・自社は何が足りていない?
実際にLifreeでも、初めて担当になった方から
「何から始めればいいのか分からない」という相談を非常に多くいただきます。
さらに多いのが
「形だけ整えて認定は取れたが、何も変わらなかった」というケースです。
この記事では、
・認定基準の全体像
・大規模/中小の違い
・2026年の変更点
・申請の流れ
・実務でやるべき対策
上記に加えて、
「自社でできること/外部を使うべきこと」まで踏み込んで解説します。
健康経営優良法人認定制度とは
健康経営優良法人認定制度の概要と目的
健康経営優良法人認定制度とは、
経済産業省と日本健康会議が共同で実施している制度で、
「従業員の健康を経営的視点で戦略的に実践している企業」を評価・認定するものです。
ポイントは単なる福利厚生ではなく、
・人的資本経営
・生産性向上
・リスクマネジメント
といった観点で評価される点が特徴です。
また、Lifreeの支援現場でも感じるのは、
健康経営は「取り組み」ではなく「経営として機能しているか」
ということです。
Lifreeの現場から見た注意点(よくある落とし穴)
多くの企業が最初に陥るのは「認定を取ることが目的になる」ことです。
結果として
・書類は整っている
・施策はある
・でも現場は何も変わっていない
という状態になります。
大規模法人部門と中小規模法人部門の違い
健康経営優良法人は大きく2つに分かれます。
区分の違い
- 大規模法人部門:従業員数が一定以上(例:製造業301人以上)
- 中小規模法人部門:それ以下
申請方法の違い
- 大規模:健康経営度調査に回答
- 中小:申請書を提出
上位認定
- ホワイト500(大規模上位)
- ブライト500(中小上位)
- ネクストブライト1000
👉ポイント:中小企業でも上位認定は十分狙えます。
健康経営優良法人の認定基準【5つの大項目】
認定は以下の5つの大項目で評価されます。
1. 経営理念・方針|健康宣言の発信と経営者の関与
最初に問われるのは
👉「経営者が本気かどうか」です。
評価ポイント:
- 健康宣言の発信
- 経営者の関与
- 方針の明文化
多くの企業で見られる失敗は「現場任せ」にしていることです。
Lifreeの経験でも、
経営者が関与している企業ほど成果が出やすい傾向があります。
また、経営者の関与が「形式」ではなく「行動として見える形」になっているかです。
例えば、社内メッセージで繰り返し発信する、会議で健康を議題にする、
評価制度に組み込むなどが挙げられます。
経営者の姿勢が現場に伝わることで、
従業員の意識と行動が変わり、施策が形骸化せず定着しやすくなります。
2. 組織体制|健康づくり責任者の設置と保険者連携
評価ポイント:
- 担当者の設置
- 産業医・保険者との連携
- 推進体制の明確化
ここで重要なのは「属人化しない仕組み」です。
担当者1人ではなかなか継続できません。
そのため、複数部署を巻き込んだ横断的な体制づくりが重要になります。
例えば人事・総務・現場管理職が役割分担を持ち、定期的に情報共有や進捗確認を
行う仕組みを整えることで、継続性が高まります。
また、産業医や保険者と連携し、専門的な視点を取り入れることで施策の質も向上し、
より実効性の高い健康経営につながります。
3. 制度・施策実行|具体的な取り組みの評価項目一覧
最もボリュームが大きい項目です。
評価対象:
- 健康診断
- メンタルヘルス対策
- 運動・食事施策
- 睡眠対策
- 禁煙施策
失敗してしまう施策は参加ハードルが高い「運動」などを
最初の施策として実施することです。
結果、参加者が少なく
健康意識が高い人だけが参加するという構造になってしまいます。
施策には取り組みを行う順番が重要です。
4. 評価・改善|PDCAサイクルの実践
評価ポイント:
- データの取得
- 指標設定
- 改善活動
重要なのは「測って終わりにしないこと」多くの企業がここで止まっています。
・ストレスチェック
・健康診断
これらが結果的に活用されないパターンも多くあります。
Lifreeの現場知見としては
改善できている企業は「データを現場に返している」です。
さらに重要なのは、データを「個人・現場レベルで意味のある形」に翻訳して伝えることです。
数値をそのまま共有するだけでは行動にはつながりません。
例えば部署別や年代別に分解し、
「なぜこの結果になっているのか」「どんな行動をすれば改善できるのか」まで
具体的に落とし込むことが必要です。
Lifreeの支援現場でも、データ→気づき→行動まで設計した企業ほど、
継続的な改善と定着が進んでいます。
5. 法令遵守・リスクマネジメント|必須の前提条件
これは「最低条件」になります。
評価対象:
- 労働基準法遵守
- 安全衛生管理
- 長時間労働対策
👉ここが未達だと認定されません。
加えて重要なのは、
「形式的に守っているか」ではなく「実態として機能しているか」が見られる点です。
例えば長時間労働対策でも、制度はあっても実際には残業が常態化している場合は
評価につながりません。
また、労働時間の把握や是正措置、産業医面談の実施などが適切に運用されているかも重要です。
ここが不十分だと健康施策以前の問題となるため、まずは土台として確実に整備する必要があります。
【大規模法人部門】認定要件の詳細と必要項目数

大規模法人部門の対象企業
対象:
- 製造業:301人以上
- サービス業:101人以上 など
必須項目と選択項目の内訳
特徴:
- 必須項目が多い
- 評価が厳しい
- 健康経営度調査でスコア化
👉ポイント:「どれだけやったか」ではなく「どれだけ成果が出ているか」です。
さらに大規模法人部門では、単に施策を実施しているだけでなく、
「どの指標がどのように改善したか」という成果の可視化が強く求められます。
健康経営度調査では各項目がスコア化されるため、施策の有無だけでなく、その質や一貫性、
継続性も評価対象となります。
例えば、健康診断の受診率が高いだけでなく、その結果をもとに生活習慣改善や
重症化予防につなげているかが重要です。
また、部門間で取り組みにばらつきがあると評価が伸びにくく、全社的な推進体制が問われます。
Lifreeの現場でも、大規模企業ほど「やっているのに成果が見えない」という課題が多く見られます。
これは施策が分散しており、指標と連動していないことが原因です。
そのため、どの施策がどの指標改善に寄与するのかを明確に設計することが重要です。
なお、大規模法人部門は設問数も多く、戦略的にスコアを取りにいく必要があるため、
初年度から上位認定を狙う場合は外部の専門家を活用することで、
効率的かつ確実にスコアを高めることができます。
【中小規模法人部門】認定要件の詳細と必要項目数

中小規模法人部門の対象企業
対象:
- 従業員300人以下
必須項目と選択項目の内訳
特徴:
- ハードルは比較的低い
- 実行できれば認定可能
ただし
👉上位認定は別次元になります。
中小規模法人部門は、大規模に比べて必須項目が整理されており、
基本的な取り組みを着実に実行すれば認定自体は十分に目指せます。
ただし実務では「何をどこまでやればよいか分からず手が止まる」というケースも多く、
特に初年度は全体像を把握しながら優先順位をつけることが重要です。
また、上位認定を狙う場合は単なる実施ではなく、
参加率や改善率などの成果指標まで求められます。
Lifreeの現場でも、中小企業ほど「一貫したテーマ設定」が成果の分かれ道になっており、
軸を決めて取り組むことで少ないリソースでも高い効果を出すことが可能になります。
健康経営優良法人2026の認定基準の変更点
2026年は「人的資本」の視点がさらに強化されています。
プレコンセプションケア関連の設問追加
プレコンセプションケアは、将来の妊娠・出産を見据えた健康管理を指し、
従来の健康経営にはなかった視点です。
女性だけでなく男性も対象となる点が重要で、生活習慣の改善や正しい知識の提供が求められます。
企業としては、セミナーの実施や相談体制の整備などが評価につながります。
単なる制度ではなく、従業員のライフプランに寄り添う姿勢が問われる領域です。
介護・治療と仕事の両立支援の設問改訂
介護や治療と仕事の両立支援は、今後の人材確保に直結する重要なテーマです。
制度の有無だけでなく、実際に利用されているか、利用しやすい風土があるかが評価されます。
例えば、柔軟な働き方や相談窓口の整備、上司の理解促進などがポイントです。
離職防止の観点からも、従業員が長く働き続けられる環境づくりが強く求められています。
今後は「続けられる会社か」が問われます。
性差・年齢に配慮した職場づくり
性別や年齢による健康課題の違いに配慮した取り組みも評価対象となっています。
例えば女性の健康支援や更年期対策、高齢従業員への配慮などが該当します。
これまで一律だった健康施策から、個々の特性に応じた支援へと変化している点が特徴です。
多様な人材が活躍できる環境を整えることが、企業の持続的成長につながると考えられています。
健康風土醸成の設問追加
健康風土醸成では、制度や施策が単発で終わらず、組織文化として根付いているかが問われます。
例えば、日常的に健康に関する会話があるか、管理職が率先して取り組んでいるかなどが評価のポイントです。
Lifreeの現場でも、風土が醸成されている企業ほど施策の定着率が高く、
成果も出やすい傾向があります。
今後は「やっている」から「根付いている」へが重要になります。
健康経営優良法人の認定を受ける申請方法と流れ
健康経営優良法人の認定を受けるためには、
部門ごとに異なる申請プロセスを正しく理解し、計画的に準備を進めることが重要です。
大規模法人部門の申請手順
まず大規模法人部門では、「健康経営度調査」に回答することが申請の中心となります。
この調査では、経営理念から施策の実行、評価・改善まで幅広い項目がスコア化され、
その結果をもとに認定可否や上位認定(ホワイト500など)が決定されます。
単に項目を埋めるのではなく、戦略的にスコアを取りにいく視点が求められます。
- 健康経営度調査に回答
- スコア評価
- 認定
中小規模法人部門の申請手順
一方、中小規模法人部門では、「健康宣言」を行ったうえで申請書を提出し、
記載内容に基づいて審査が行われます。
大規模に比べるとシンプルな構造ですが、各項目に対して具体的な取り組み内容を整理し、
漏れなく記載することが重要です。
- 健康宣言
- 申請書提出
- 審査
申請スケジュールと認定申請料
申請スケジュールは例年、8〜10月頃に申請受付が行われ、翌年3月に認定結果が発表されます。
実務では申請直前に準備を始めると間に合わないケースが多く、
少なくとも半年前から現状整理や施策の整備を進めておくことが望ましいです。
特に初年度は情報収集や社内調整に時間がかかるため、早めに全体像を把握し、
逆算して準備を進めることが認定取得のポイントとなります。
一般的な流れ:
- 8〜10月:申請
- 3月:認定発表
早めの準備が必須です。
健康経営優良法人の認定取得に向けた準備と対策
「認定取得」ではなく「成果」をゴールに設計する
多くの企業が陥るのは、「認定を取ること」が目的になってしまうことです。
しかし本来の健康経営は、従業員のコンディション改善や生産性向上といった成果を出すことがゴールです。
Lifreeの現場でも、認定だけを目的にした企業は施策が形骸化しやすく、
結果が出にくい傾向があります。
まずは「自社は何を改善したいのか」という目的を明確にし、
認定はその結果としてついてくるものと捉えることが重要です。
「1つの軸」で施策を設計する(分散させない)
ここが最も重要なポイントです。
健康経営施策がうまくいかない最大の理由は「バラバラな施策」です。
運動、食事、メンタルなどを個別に導入しても、
従業員にとっては負担が増えるだけで、行動変容につながりません。
Lifreeでは、まず1つの軸で設計することを推奨しています。
特に睡眠は全従業員に共通し、メンタル・生産性・離職など複数の指標に波及するため、
最も効果的な起点になります。軸を決めることで施策がつながり、成果が出やすくなります。
「施策 → 行動 → 指標 → 成果」まで一貫して設計する
多くの企業は「施策」で止まっています。
しかし重要なのは、その施策がどのような行動変化を生み、どの指標を改善し、
最終的にどんな成果につながるのかまで設計することです。
例えば睡眠施策であれば、「就寝時間の改善 → 睡眠スコア向上 → プレゼンティーイズム改善」
といった流れを明確にします。
Lifreeの支援ではこの一貫設計を行うことで、
単なる取り組みではなく、経営成果につながる健康経営を実現しています。
まとめ
健康経営優良法人の認定基準は、
・経営理念
・体制
・施策
・評価
・法令遵守
の5つで構成されています。
しかし本質は
「どれだけやったか」ではなく「どれだけ変わったか」です。
現場でも感じるのは「認定取得はゴールではなくスタート」ということです。
もし今、
・何から始めればいいか分からない
・認定を取りたいが自信がない
のであれば
👉まずは1つの施策から始めること
そして
👉指標 → 行動 → 成果を一貫して設計すること
これが認定取得と成果を両立する最短ルートです。
