テレワークやハイブリッド勤務が一般化した今
「睡眠時間は増えたのに、疲れが取れない」「仕事とプライベートの境目がなくなった」
という声が多く聞かれるようになりました。
実際、Lifreeが企業サーベイを通じて得たデータでも、
テレワーク導入後に「睡眠の質が低下した」と答える社員が約6割にのぼりました。
通勤時間が減ることで睡眠時間自体は延びている一方、
「眠るタイミング」や「生活リズム」が乱れ、“睡眠崩れ”が起きているのです。
睡眠は健康経営や人的資本経営の土台。
本記事では、テレワーク下で起きている睡眠の変化と、
企業が取り組むべき3つの対策・成功事例を紹介します。
テレワークによる睡眠への影響
1. 生活リズムの乱れ
通勤がなくなり、起床・就寝時間が自由になったことで、
「就寝時刻の遅れ」「起床時刻のばらつき」が増加。
慶應義塾大学の研究(Mishimaら, Chronobiology International, 2021)では、
テレワークを行う人の平均就寝時刻が約30分遅くなり、
朝の光を浴びる機会が減少した結果、
体内時計が後ろ倒しになる“社会的時差ボケ”が起きやすくなったと報告されています。
体内時計の乱れは、集中力低下・代謝低下・メンタル不調を引き起こす要因です。
特にリモート会議が多い日ほど「寝る直前まで画面を見ている」傾向があり、
ブルーライトの影響で入眠が遅れがちになります。
2. 日中活動量の低下
在宅勤務では、通勤や移動が減るため一日の歩数が平均3,000〜5,000歩減少。
運動不足による深部体温リズムの乱れが、夜の入眠を妨げます。
最も少ない部類の方は200歩などでした。
また、日中の光刺激が少ない環境では、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌タイミングが遅れ、
夜になっても眠気がこない“夜型化”が進行します。
Lifreeが支援した企業のアンケートでも、
「在宅勤務中は昼に強い眠気を感じる」「夕方に集中力が切れる」との回答が7割を超えました。
これは、「体が昼夜をうまく切り替えられていない」サインです。
3. 心理的ストレスと睡眠の質の低下
テレワークでは孤独感・コミュニケーション不足も睡眠に影響します。
ハーバード大学公衆衛生大学院(Patel et al., Sleep Health, 2021)による研究では、
社会的つながりの希薄さが睡眠効率の低下と有意に関連していると報告されています。
孤独感が強い人ほど夜間の覚醒回数が多く、主観的な睡眠満足度が低下する傾向があるとされます。
Lifreeが支援する企業でも、
「在宅中は誰にも会わず、気が張り続けて眠れない」という声が一定数あり、
心理的安全性と睡眠の質は密接に関係しています。
実践できる3つの企業対策
① 社員の“睡眠リテラシー教育”
まず必要なのは、社員一人ひとりが「自分の睡眠をマネジメントできる力」を身につけることです。
Lifreeでは、オンラインセミナー形式で以下のような内容を伝えています。
朝の光と体内時計の関係
夜のスマホが脳に与える影響
睡眠負債とパフォーマンスの関係
睡眠を整える簡単な行動ルール
特に、テレワーカーには「朝の光・昼の運動・夜のデジタルデトックス」の3原則を推奨。
短時間でも実践できる具体策を伝えることで、行動変容率90%という高い成果を得ています。
② 睡眠サーベイによる現状把握と可視化
「どの層が眠れていないのか」を把握しないままでは、対策の方向性が定まりません。
Lifreeでは、睡眠不足度などの国際基準を用いた睡眠サーベイを実施し、
部署・年代・働き方(出社/在宅)の傾向を分析します。
あるIT企業では、このサーベイで「30代テレワーカー層の不眠スコアが突出して高い」ことが判明。
その後、在宅環境に合わせた照明・温度・作業姿勢の改善施策を導入した結果、
「寝つきが良くなった」「朝の頭の重さが減った」といった声が増えました。
可視化は、社員への納得感と経営層への説得力を両立できる重要なステップです。
③ 在宅・オフィス双方に“眠りやすい環境”を設計
テレワーク時代の睡眠改善は、働く場所の環境整備も欠かせません。
【オフィスでの取り組み例】
午後の眠気を防ぐための自然光照明導入
パワーナップスペースやリカバリールームの設置
集中・リラックスを切り替えるための静音エリア設計
【在宅勤務者向けの支援例】
ハイブリッド勤務時代の新たな課題
テレワークと出社が混在する「ハイブリッド勤務」では、
働くリズムが曜日ごとに変わるため、体内時計のリセットが追いつかないという問題が起きやすいです。
出社日は早起き、在宅日は夜型……この“揺れ”が週単位で蓄積すると、
「週の後半ほど眠れない・疲れが取れない」という状態になります。
Lifreeの分析では、特に出社・在宅の切り替え頻度が多い社員ほど、不眠スコアが悪化する傾向が見られました。
この課題への対処には、
また、企業によっては「週に2日は固定出社日を設定し、体内時計のリセット日とする」など、
“働き方”と“眠り方”を一体で設計する取り組みも広がっています。
成功企業の事例紹介
事例①:コンサルティング企業A社
在宅勤務比率が高い中で、「社員の睡眠質が低下している」との声を受け、
全社員にLifreeの睡眠セミナーとオンラインチェックを導入。
1ヶ月後のアンケートで「眠りの意識が変わった」と回答した社員が82%、
「朝の集中力が上がった」との回答も多数。
社内では「寝ることがパフォーマンスを高める」という文化が定着し始めています。
事例②:製造業B社
夜勤・交代制に加え、コロナ禍で在宅が混在する働き方に移行。
Lifreeと共同で睡眠セルフケアガイドを制作し、
社内ポータルで「眠りの整え方」を連載形式で発信。
取り組みやすい習慣だったためセルフケアとして実践いただきました。
事例③:IT企業C社
社員の「深夜作業の常態化」を問題視し、
22時以降のオンラインミーティングを原則禁止。
また、社内報で経営陣自ら「睡眠の重要性」を発信。
経営層が率先して休む姿勢を見せたことで、
若手社員の勤務時間も自然に是正され、
「上司が整うとチームが整う」ことを実感した好例です。
まとめ|働き方が変われば、眠り方も変わる
テレワーク時代の最大の課題は、「働きすぎ」ではなく「休めなさ」。
自宅というリラックス空間が、同時に職場にもなったことで、
“オンとオフの切り替えが失われた”社員が増えています。
企業ができる最も効果的な支援は、
「社員が安心して眠れる環境と習慣を整えること」。
睡眠は、体調管理だけでなく、創造性・集中力・心理的安全性の基盤です。
そしてそれは、テレワークという新しい働き方に最も必要な“企業投資”でもあります。
Lifreeは、科学的データと行動変容プログラムを通じて、
社員が「眠りから整う組織」を支援し続けます。
睡眠に困ったときは専門家に相談を
「仕事が忙しくて睡眠時間を確保できない」「寝ても疲れが取れない」という方は、
睡眠の専門家に相談することで解決策を見つけることができます。
Lifree株式会社では、ビジネスパーソン向けに
パフォーマンスを最大化するための睡眠改善プログラムを提供しています。
睡眠の質を高め、日中の生産性を向上させる具体的な方法を知りたい方は
ぜひLifree株式会社までお問い合わせください。
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