パフォーマンスコーチの角谷リョウさんが、いい意味で参加者の気持ちを乗せるのが非常に上手で、弊社のメンバーの新しい一面、知らなかった一面を垣間見ることができました。こうした側面は、普段の仕事では見えてこないものですから、非常にありがたかったです。
また、研修では、一人ひとりの社員がどのメニューに取り組むか意思決定を求められる機会が多々あります。仕事を通して受け身な性格が強い人と思っていた社員が、実際には積極的に情報発信をするなど、やはり仕事だけではその人の人格は推し量れないものだなと再確認させてもらいました。
メンバー間で円滑なコミュニケーションを喚起したいという導入目的は、一人の発言に対して、他のメンバーたちがコメントを重ねたり、応援したりする様を見るに、達成できたと思います。
さらによかったのは、1回の研修期間が終わった後、次の時期までに、自分が取り組んだことや思ったことをSNSに投稿することを求められました。その投稿の回数を各人が事前に宣言するのです。そして、途中経過で回数が告げられていくのです。「○○さん、あと何回です。頑張りましょう」などと、お互いがエンパワーしあう環境を醸成してもらいました。皆で目標を成し遂げること、一緒に成長を目指すことという連帯のプロセスは、これまでの弊社には足りないものでしたので、チーム制に移行する下準備として「これだ」と思えるものでした。お互いに励まし合って、チームワークが芽生える瞬間に立ち会えたことは経営者としてとても嬉しいものがありました。
じつは、この研修を通じて楽天にいた時と似たような印象を受けました。楽天に在籍していた思い出の中で忘れられない標語が「Get things done(物事が完了された状態にせよ)」です。この標語には「一人一人が物事を達成する強い意思をもつことが重要」という説明が添えられていました。いわば「100%やりきれ」ということです。その「100%やりきるプロセス」の中で、協力してくれたメンバーとの信頼関係が強固になっていきました。これが楽天という会社の強みです。拙著『楽天で学んだ100%やりきる力』も、そういった体験がベースになっています。
今回の研修でも同じように、信頼関係が強まるプロセスを見ることができました。
「楽天で学んだ100%やり切る力」著者:廣田大輔