皆さんこんにちは。
Lifree株式会社の睡眠コーチのサトウ未来です。
2025年、日本リカバリー協会が発表した「リカバリー(休養・抗疲労)白書2025」によると、
疲労による日本全体の経済損失は年間15.2兆円。
従業員一人あたりでは年間22.7万円の損失に上ることが明らかになりました。
つまり、“疲れている社員”を放置することは、
企業にとって生産性の損失=見えない赤字を生むということ。
そしてその背景には、「休養」に対する根本的な誤解があります。
現代人の多くは、こうした行動を「休んでいる」と錯覚しています。
週末に温泉やマッサージへ行く
ストレス発散のための買い物
夜遅くまでドラマ・YouTubeを観る
ダラダラとSNSを眺める
カフェで長時間スマホを触る
確かに、一時的な快楽や気分転換にはなります。
しかし脳科学的に見ると、これらの行動は「覚醒」状態を維持したまま疲労を上塗りしていることが多いのです。
たとえば、YouTubeやSNSを見ているとき、脳内ではドーパミンが分泌され、
「楽しい」「スッキリした」と感じる一方で、視覚刺激と情報処理が続き、脳は休んでいません。
温泉や旅行も、非日常の刺激によって「リフレッシュ感」は得られても、
実際には移動・人混み・計画などの負荷がかかり、回復よりも疲労を蓄積するケースが多いのです。
Lifreeの角谷リョウは、著書『仕事の質を高める休養力』で書いています。
「休養とは、“何をするか”ではなく、“どれだけ刺激を減らせるか”。
体と脳にかかっているブレーキを外す時間こそ、真のリカバリーである。」
つまり、真の休養とは「快楽」ではなく「回復」。
“元気を出す”行動ではなく、“刺激を抜く”行動です。
具体的には、次の3つの状態を意識することがリカバリーの第一歩です。
| 間違った休養 | 真のリカバリー(正しい休養) |
|---|---|
| 刺激を求める(動画・買い物・外出) | 刺激を減らす(静かな時間・瞑想・自然) |
| 体を動かす or 興奮させる | 体と脳をゆるめ、副交感神経を優位に |
| 「頑張ってリラックスする」 | 「何もしない」ことを許す |
角谷が提唱する「休養力」とは、
この“静的リカバリー”と“動的リカバリー”を意識的に組み合わせ、
日常の中で自分を再起動する力のことを指しています。
RAND Europe(2016)の研究では、睡眠6時間未満が続く社員は、
生産性が13%低下し、事故やエラー発生率も上昇。
脳が休めていない状態では、どれだけ努力してもパフォーマンスは上がりません。
ワシントン大学のBarnesら(2017)は、
睡眠不足のリーダーは「感情的で攻撃的」と評価されやすく、
チーム全体の士気・信頼を損なうと報告。
疲労した上司が放つ小さな一言が、チーム文化を破壊するリスクになります。
厚労省の統計では、メンタル不調による休職者数はこの10年で1.5倍。
睡眠不足の人はうつ病発症リスクが40倍に達するという研究もあります(Harvard Medical School, 2011)。
疲れを放置することは、離職・休職コスト(1人あたり約1490万円)につながる深刻な経営損失です。
Lifreeでは、企業研修やプログラムを通じて
「働き方の見直し」だけでなく「休み方の教育」を行っています。
その中で重要なのが「休養リテラシー」=休み方の理解力。
脳と体の疲労構造を知る(どんな刺激が回復を妨げているか)
自分のリカバリースイッチを見つける(呼吸・照明・姿勢・香りなど)
日常にマイクロリカバリーを設計する(3〜5分で副交感神経を戻す)
たとえば、角谷が書籍の中でも提唱する「マイクロリカバリー」は、
昼休みや会議の合間に行う“1〜3分の整える時間”。
呼吸・伸び・照明・音環境を整えるだけで、
脳波レベルで疲労を軽減し、午後の集中力を保つことができます。
人的資本経営では、健康・安全・メンタルの開示が求められています。
その中で、「休養」「睡眠」「疲労回復」は最もROIが高い投資領域。
経産省の健康経営ガイドブックによると、
睡眠改善施策は1人あたり年間32.8万円の生産性改善効果を持ち、
他の健康施策(運動・食事)より約10倍の効果があるとされています。
Lifreeでは、
睡眠・疲労サーベイ
睡眠改善プログラム
効果測定(AIS・ESS・eNPSなど)
を組み合わせ、「働く」と「休む」の両輪で企業を支援しています。
疲労による損失15兆円――。
しかし、その多くは「休み方を間違えている」ことに起因しています。
温泉や買い物では“気分”は回復しても、“脳”は回復しない。
角谷リョウはこう語ります。
「人は、働いているときではなく、休んでいるときに強くなる。
でも、その“休み方”を学んでいない人がほとんどだ。」
だからこそ、企業には正しい休養リテラシーを育てる責任があります。
社員が「疲れない働き方」ではなく、「回復できる働き方」を身につけたとき、
生産性も創造性も、自然と上向いていくのです。
「仕事が忙しくて睡眠時間を確保できない」「寝ても疲れが取れない」という方は、
睡眠の専門家に相談することで解決策を見つけることができます。
Lifree株式会社では、ビジネスパーソン向けに
パフォーマンスを最大化するための睡眠改善プログラムを提供しています。
睡眠の質を高め、日中の生産性を向上させる具体的な方法を知りたい方は
ぜひLifree株式会社までお問い合わせください。