みなさん、こんにちは!
みなさんは、「ソーシャルキャピタル」という単語を耳にしたことはありますか?
「ウェルビーイング」と同様、近年少しずつ浸透してきているこの考え方ですが、いまだにやや分かりにくいのも確かです。
そこで今回の記事では、「ソーシャルキャピタル」について、昨今の学術的な議論も少しかじりながら整理していきたいと思います!
まず、その定義に関して。ソーシャルキャピタル (以下SC)は、
集団の特性として捉えられる場合や、そうした集団から得られる資本を指す場合など、文脈によってややその意味にばらつきがあります。
ただ、人々の間の信頼度、互いの利益を尊重する程度、助け合いの程度といった、社会における人間関係の結びつきの量や質を扱ったものであると言うことができるかもしれません。
有力なものでは
「調整された諸活動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる、信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」(パットナム,2001 *1)
「人とのつながりにより得られるもの」「地域や人とのつながりや信頼感をもとに、人が他人を思いやる強調的な姿勢をとり、それが地域全体や自分の財産になるという考え方」(カワチ,2013 *2)
などの表現が取り上げられることが多いです。
以前の記事では、
「人々の協調行動を活発にすることによって、社会の効率性を高めることのできる「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴」(厚生労働省)
「人とのつながりによって得られるもの(社会関係資本)」(弊社パートナーまさよさん)
という説明も紹介させていただきました。
また、ここでいう集団とはあらゆる組織(内部で人同士の紐帯が発生しているもの)にあてはまるようで、
家族、学校、地域コミュニティ、企業、市民社会まで、我々の生活を取り巻いている本当に多様なつながりが含まれています。
その計測方法に関しても、多くの研究者が、そうした多様なコミュニティの範囲に合わせて適切な数値化の方法を模索している段階です。
したがって、その学術的なスタンダードと呼べるものは未だ確立されていないようですが、
いくつかの有力な計測方法によって興味深い研究が行われています。
では、SCがなぜそんなにも重要であるのかを、いくつかの研究を参照しながら考えていきたいと思います。
特に、職場という集団での人間関係が私たちの心身の健康に及ぼす作用には、どのようなものがあるのでしょうか。
ある研究によると、SCの増加は、心理的、身体的、バーンアウト(燃え尽き症候群)など、健康の各領域において、
過度の疲労/ストレスの低下と有意な相関があることが明らかになっています*3。
あるいは、SCが豊かな職場に属していることで、身体的・精神的健康への好影響が確認されており、それは退職後の死亡に関しても予防的な影響があったとも報告もあります*4 。
具体的な事例で言うと、例えば、職場のSCが高いことで、メタボリックシンドロームのリスクが40%減少する可能性があったり*5、
職場ソーシャルキャピタルが低い従業員が、新たに医師にうつ病と診断され抗うつ剤治療を受ける確率は、職場のソーシャルキャピタルが高い従業員に比べ30-50%高かったという研究があるようです*6。
さらに、このSCと睡眠に関して論じたものもあり、
それによると「不眠症状」がSCと健康、特に身体的健康との関係を媒介する可能性が示唆されているのです*7。
我々の心身の健康が、いかに集団での関係性に左右されているかを強く感じられますね。
いかがだったでしょうか。
いまだにやや扱いづらい考え方であるSCですが、
このように、職場のSCの豊かさが、個人の健康に良い影響を与えることが多くの研究により実証されているのです。
すごく興味深いですし、これからの働き方を考える上で重要な指標になりそうですね。
今後の研究成果にも期待です!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
*1 R.Putnam. Social Capital: Measurement and Consequences. 2001
*2 イチロー・カワチ他『ソーシャル・キャピタルと健康政策: 地域で活用するために』2013
*3 Gächter, Martin; Savage, David A.; Torgler, Benno. The relationship between stress, strain and social capital. 2010
*4 高尾総司『職場のソーシャル・キャピタルと健康経営』2016
(https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2016/12/038-045.pdf)
*5小林朋子他『職場におけるソーシャル・キャピタルと健康に関する 実証的研究とベンチマークシステムの構築』2020
(https://www.ihep.jp/wp-content/uploads/2020/04/研究要旨③.pdf)
*6 Tuula Oksanen, Anne Kouvonen, Jussi Vahtera, Marianna Virtanen, Mika Kivimäki. Prospective study of workplace social capital and depression: are vertical and horizontal components equally important? . 2010
(https://jech.bmj.com/content/64/8/684.short)
*7 Eyjolfsdottir, Harpa. Social capital, self-rated health and the importance of sleep: The case of Iceland in 2007 and 2009. 2012
(https://www.diva-portal.org/smash/record.jsf?pid=diva2%3A531500&dswid=6472)
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